矢野経済研究所は2026年4月3日、国内の社会インフラIT市場の調査結果を発表した。2024年度の市場規模は前年度比5.5%増の7028億円に達し、鉄道・道路・水関連の主要3分野が大きく伸びた。IoTやAI、ドローンを活用した「社会インフラ向けITソリューション」も前年度比44.4%増の130億円と急拡大した。
矢野経済研究所は2025年8月から2026年2月にかけて、社会インフラIT市場規模を調査した。道路、鉄道、空港、港湾、河川、ダム、水関連、防災・消防/警察の8分野を対象に、国や自治体、インフラ運営事業者(高速道路事業者、鉄道事業者、民間空港など)の発注金額ベースで規模を算出した(図1)。
図1:国内の社会インフラIT市場における規模と推移の予測(出典:矢野経済研究所)拡大画像表示
2023年度の市場規模は前年度比3.7%増の6660億円だった。新型コロナウイルス禍後の2022年度の成長率からはやや鈍化したものの堅調に推移した。同年度は道路関連の伸びが際立ち、ETC関連や料金所安全対策設備、CCTV設備(閉回路テレビジョン)といった高速道路事業者向けの大型案件が市場を牽引した。一般道路関連においても100億円超の超大型案件が見られた。
2024年度は、前年度比5.5%増の7028億円と大幅に伸びた。鉄道・道路・水関連の主要3分野がいずれも高伸長を達成し、道路では100億円を超える超大型案件が複数あった。鉄道では大手事業者を中心にIT投資が活発で、鉄道IT分野全体が堅調に推移した。水関連でも大手事業者の大型案件が牽引した。特に水関連団体からの発注が旺盛だった。
注目トピックとして同社は「社会インフラ向けITソリューション」の動向も取り上げた。これは、従来型の社会インフラITの枠内で、IoT、クラウド、ローカル5G、画像解析/データ解析AI、スマートデバイス/IoTデバイス、センサーネットワーク、ドローン(AI画像解析を含む)といった先進的な情報通信技術を活用するサービス群を指す。インフラ保全の高度化(次世代保全/状態基準保全など)、業務の最適化(効率化/省人化、渋滞緩和、点検の最適化など)、政策/戦略立案における判断支援、といった用途で期待されており、社会インフラIT市場全体の内数として集計している。
普及の状況を見ると、IoTモニタリング/遠隔監視が各分野で広く浸透しているほか、カメラ映像を活用したAIによる点検支援、劣化診断、防災シミュレーションも普及が進む。鉄塔や橋梁の点検、防災用途ではAI画像解析と組み合わせたドローンの活用も増加傾向にある。加えて、クラウドベースの台帳システム(クラウド対応タブレット等を活用)や、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)機能を付加したスマートグラスを用いた現場作業支援システムの実装も始まっている。こうした動きを背景に、2024年度の社会インフラ向けITソリューション市場規模は前年度比44.4%増の130億円となり、大幅に拡大した。
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