「マイクロソフトとNTTグループがSaaSに関し協業へ」―。2008年12月10日、米マイクロソフトとNTT持ち株会社は、「SaaS over NGN」に関する協業を発表した。NTTグループが提供する次世代ネットワーク「NGN」と、マイクロソフトのソフトウェア製品を組み合わたサービスの提供を目指す。巨人同士の協業だけに、SaaSへの流れを加速しそうだ。
協業の背景
「NGNのキラーアプリケーションはSaaSである」と見るNTTは、有力なSaaS事業者の獲得に力を入れている。すでにセールスフォース・ドットコムとは、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、NTTが提携済み。2008年12月には国内の中堅・中小向けソフトベンダーで構成するMIJSとNTTコムが提携した。NTTグループ3社は、SaaS向けサービス基盤を共同開発することも発表している。
一方、SaaSでは後発のマイクロソフトは、2007年6月にメッセージ系のSaaSに関してKDDIと提携。2008年3月からはKDDIや富士通などと、SaaS事業者支援プログラムを共同で提供中だ(いずれも日本国内)。さらに同年10月、「Azure Services Platform」を発表。主要製品をSaaS(クラウド)の形で提供する計画を明らかにした。今回の協業は、こうした動きの延長線上にある。
協業の内容
協業の内容は、今のところほとんど決まっていない。「NGNとマイクロソフト製品を連携させ、革新的なサービスを実用化する」、「その一つとしてNTTグループのSaaS基盤上で、マイクロソフトのアプリケーションを提供する計画を検討する」といった程度だ。今後、NTTグループ各社とマイクロソフト米国本社、日本法人が検討チームを組織し、内容を詰めていく計画である。
今後の方向性
だがNTTグループとマイクロソフトが協業するインパクトは、やはり大きい。電話網の信頼性や安定性と、IPネットワーク(インターネット)の柔軟性を両立させたNGNは、インターネットを介したSaaS利用に抵抗を感じる日本のユーザー企業に訴求できる。一方、米マイクロソフトが当事者であることから、Azure Services Platformが協業の重要なポジションを占めるのはほぼ確実。となれば、使い慣れたDBMSや開発環境、SharePointやExchange、Dynamics CRMのような業務系ソフト、そしてオフィスソフトが、SaaSとして提供されることになるからだ。
もちろん協業が具体化される時期や両社が提携済みのパートナー各社の思惑など、問題も多い。ある関係者は、「NTTグループ3社の意思統一だけでも決して簡単ではない」と話す。それでも通信業界とソフト業界の巨人が手を組んだことにより、SaaSへの流れが加速されるのは間違いない。
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