[技術解説]

ストレージの今─仮想化でストレージの投資を最適化、内部処理の工夫で性能や拡張性を向上

進化するITプラットフォーム Part6

2009年6月17日(水)IT Leaders編集部

企業が取り扱うデータ量の爆発的増加に伴い、ストレージの機能向上に対する要請は厳しくなっている。こうした状況を受けて、リソースの効率活用や高速処理、利便性向上などをうたうストレージ製品が充実してきた。(編集部)

Column
クラウド環境をにらんだストレージ選択の要件

菅 博
伊藤忠テクノソリューションズ
クロスファンクショングループ プロダクトマーケティング室 インフラソリューション推進部

今後のストレージシステムを考える時、プライベート(インターナル)のクラウド環境を意識するケースが多くなるだろう。ここでは、それをにらんだストレージの要件について解説する。選定のフェーズでは、ぜひこれらのポイントを軸に検討して欲しい。

(1) 可用性と性能

多数のサーバーから共有されるストレージに欠かせない要件が可用性である。可用性を高める工夫は施されているものの、例えば部品故障が発生した場合に、「止まらない」と「著しい性能劣化に陥らない」の2点が維持されるとは限らない。部品故障では停止しないが、一部の保守作業で停止を避けられない製品や、故障時に性能が半減してしまう製品がある。最初に、可用性と性能保証を、どこまで求めるかを決める必要がある。

(2) 柔軟性と操作性

クラウド環境では、ファイルサーバーやDBサーバー、クラスタリングされたサーバーなど、多様なサーバーが存在する。このような環境では常に何らかの変化に対応する必要があることを意識しなければならない。例えばサーバー数の増減は、ストレージ容量の不足・余剰と密接に関連する。サーバーのサービスレベルに応じて、使用するボリュームのそれ(速度、可用性)も変化させなければならない。

したがってストレージ内で容量割り当てが自在にできることや、ボリュームのサービスレベルを必要に応じてオンラインで変更できる機能を持つストレージが望ましい。その際、変化への対応は迅速であることが必須。つまりストレージの構成変更をサイト管理者自身が実行でき、簡単で一貫した操作性の管理ツールが必要となる。

(3) 汎用性と拡張性

クラウド環境では、必要な性能要件と容量を事前に見積もるのは困難。スモールスタートで、必要に応じて性能と容量の双方を追加できるストレージが望まれる。現実にはスタート時の容量(初期投資)と拡張性の関係に制約があるので、慎重に検討すべきだ。

様々な形態のサーバーに接続するための汎用性も求められる。具体的に言えば、SAN(もしくはiSCSI)と、NASプロトコルの双方のサポートが必要になる。マルチ・プロトコルをサポートし、かつ一貫した操作性を持つストレージを検討すべきだろう。

(4) 保全性

バックアップとリストアに関わる要件は、言うまでもなく、これまでとはレベルの異なる高さが求められる。サービスが原則無停止であり、かつ大容量が前提になるはずなので、バックアップ・イメージを瞬時にストレージきょう体内に作成する機能が必須になる。

以上、いくつかのポイントを指摘した。単なるシステム統合の要件とクラウド環境の要件の決定的な違いは、「柔軟性と拡張性」の重み付けにある。クラウドの方が圧倒的に不確定要素が多いのだ。この点で、小さく始めて変化に迅速に対応できるストレージが重要になるのは間違いない。

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ストレージ仮想化 / シンプロビジョニング / フラッシュストレージ / SSD / VTL

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