日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は2009年7月30日、IT資源をネットワーク経由で提供し、従量制で課金する新たなパブリック・クラウドサービス「IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス(IBM MCCS)」を発表した。提供開始は、2009年10月中旬からの予定。ITコストを削減しつつもビジネス環境の変化に即応したい、という多くの顧客からの要望に応えたもので、顧客自身のビジネス状況に応じて柔軟かつ安価に最適なIT資源を提供できるとしている。
同社によれば、IBM MCCSの特徴は以下の4点。
1. 日本IBMのデータセンターにクラウド環境を構築
同社データセンター内に、同社のx86サーバー「IBM System x」やストレージ「IBM System Storage」などのIT資源を用意し、ネットワーク経由で提供する。顧客は自身でIT資産を所有する必要がなくなるほか、ネットワークサービスもIBM MCCSに含まれているため、データセンターまでの通信料の負担も不要。
2. IT資源の提供
IT資源として仮想化技術を活用し、物理的なサーバーやストレージを論理的に分割して使用するため、複数の企業や業務に対して効率よくクラウドサービスを提供可能。同社によれば一般的にx86サーバー単体稼働時のCPU使用率は15~20%程度だが、仮想化技術を活用し、1つのCPUで複数業務を処理することで、CPU使用率は80~90%に上がり、5倍以上の効率化が見込まれる。それにより、顧客は、ビジネス状況に応じて必要なIT資源を柔軟に、かつ最適なコストで調達することができるという。
3. 従量課金
料金は、CPUの処理量に応じた従量課金となる。CPU使用量の基準には、CPUの使用能力を測る業界標準の評価指標「SPECint_rate2006」を採用。顧客の業務に応じて基本使用量を設定し、基本使用量を超えた分については、使ったCPU処理量に応じた完全な従量課金となる。月の途中でも基本使用量の増減が可能で、変更要求のすぐ翌日から反映されるほか、処理する業務の量に応じて、設定した基本使用量の2倍までは自動的にIT資源を割り振ることが可能。
4. 運用サービスの品質
提供するIT資源に関しては、英国の政府機関が策定したITサービス・マネージメントのベストプラクティスである「ITIL」(IT Infrastructure Library)に準拠した標準運用プロセスに基づく高品質の運用サービスを提供し、サービスの内容に応じて以下の3種類のメニューを用意する。
- レベル1: 監視のみ
- レベル2: 監視、運用、障害一次対応
- レベル3: 監視、運用、障害一次対応、SEサポート
料金は、IT資源の利用量や運用レベルに応じて異なるが、たとえば、部門サーバーやファイルサーバー、プリントサーバーなど、x86サーバーの一般的な利用形態に対応できる使用条件(「SPECint_rate2006」= 5.0 のCPU使用量、OSはWindows、メモリは1GB、ディスク容量は20GB、運用は監視だけ)と仮定した場合、月額料金は5万円程度とのこと。