1カ月間に発表された主要なユーザー事例を紹介する、ニュースフラッシュ ユーザー事例編。製造業や金融業、その他のユーザー企業の情報システム導入・構築事例から、12個の事例を取り上げた。
モバイル [金融業]
三井住友海上グループ、バックアップにFOMA回線
2010年3月までに、中規模拠点80カ所に展開した。専用線をFOMAに置き換えることで、通信コストを年間数千万円削減する。80拠点には、FOMA用の通信カードをセットしたルーターを設置。通常回線にトラブルがあった際、拠点内PCをこのルーター経由で社内ネットワークに自動接続する。PC側に追加の機器や設定は不要。シスコ製のルーターがFOMAに対応するのを2年待ち、導入に至った。
情報系 [金融業]
東京都民銀行(現きらぼし銀行)、情報系基盤を刷新へ
基幹システム更改の一環として、次期情報系システム基盤である「新データインフラシステム」を構築する。2011年5月に稼働予定。同行では、投資信託や保険など取り扱い商品が増えた結果、販売データ分析の複雑さが急激に増加していた。システムはアジアパシフィックシステム総研の情報系基盤パッケージ「entrance Banking」などを利用し、日本IBMが構築する。 (2010/4/14)
レガシーマイグレーション [その他]
眼鏡販売の三城が基幹システムをオープン化
NECのシステム構築・運用サービス「RIACUBE」を活用し、NEC製メインフレームから、同じくNECのサーバー「Express5800/スケーラブルHAサーバ」に移行した。併せて本社と販売店舗間の受発注・集配信システムのアプリケーションサーバーを、商用製品からオープンソースの「JBoss Enterprise Application Platform」へ変更。保守費用の大幅な圧縮を実現したという。 (2010/4/14)
リッチクライアント [その他]
興和不動産、業務システム刷新
オフコンで稼働していた複数のシステムを再構築し、日立製作所のブレードサーバー「BladeSymphony」を利用した環境に移行した。アクシスソフトのリッチクライアント構築製品「Biz/Browser」を利用してUIを開発し、従来のユーザーインタフェース(UI)との差異を抑えた。同社は2006年10月の本社移転を機に、システムの再構築を進めていた。システムは日立電子サービスが構築。 (2010/4/19)
マーケティング [その他]
セシールが顧客分析基盤を強化
顧客ターゲティングや訪問営業の効率化が狙い。人口統計学の手法を用いて、収入や世帯構成といった地域ごとの特性を基に消費者を複数のグループに分類。各グループごとに適切なマーケティング手法を選択することで、販売機会を増加させる考え。システムには英エクスペリアンが開発した消費者セグメンテーション製品「Experian Mosaic Japan」を採用した。 (2010/4/19)
勤怠管理 [製造業]
小松製作所、勤怠管理システム刷新
同社と販売系のグループ会社13社の約1万5000人が利用するシステムを刷新した。2010年4月に施行した改正労働基準法への準拠が目的。今まで紙ベースで勤怠管理していたグループ会社もあったが、今回のシステム導入によりグループ全体のコンプライアンス対応も推進する。システムは、日立システムアンドサービスの勤怠管理パッケージ「リシテアJob」を利用して構築した。 (2010/4/20)
製品ライフサイクル管理(PLM) [製造業]
三菱自動車工業が設計・解析業務を効率化
設計図面データと解析データの統合管理システムを構築した。自動車開発時の性能検証業務の効率化が目的。複数のCADシステムで作成したデータなどを一元管理し、部門間で共有可能にした。これにより、設計部門と解析部門は必要なデータを同時並行で確認しながら作業を進められる。システムはシーメンスPLMソフトウェアのPLMパッケージ「Teamcenter」を採用して構築した。 (2010/4/20)
無線通信 [製造業]
アマダ、保守要員向け車両に通信機能搭載
主力製品である金属加工機械の保守サービスの効率化に活用している。同社の国内約300人のサービス技術者が使用する、IT機器や作業用の工具を積載した専用車両「ITサービスカー」に無線通信装置を搭載。社外からでも修理用のマニュアルなどを閲覧可能にした。今後は、顧客企業の機械に設置した管理システムとネットワークで接続し、機械の遠隔監視を可能にする考え。 (2010/4/21)
データベース [金融業]
楽天証券が株式情報の配信システム刷新
東京証券取引所の次世代株式売買システム「arrowhead」の2010年1月の稼働に合わせて稼働開始した。株の売買高や売買代金といったすべての注文情報を配信する東証の新サービス「FLEX Full」の開始を受けた措置。新システムにより、同社は個人投資家に東証から得た注文情報を即時配信する。日本オラクルのインメモリーDBキャッシュ製品「Oracle Coherence」を採用した。 (2010/4/23)
販売・購買管理 [製造業]
第一三共が欧州拠点の物流基盤整備
欧州本社と欧州の中央製造拠点にSAP ERPを導入した。そのうえで、販売・原料管理分野の12の関連会社にSAPの販売管理(SD)・購買管理(MM)モジュールを導入。物流サービス事業者向けのプロセス連携用のインタフェースも実装した。欧州拠点におけるサプライチェーン管理体制の統一が目的。システムは独ソフトウェア・エー・ジーの子会社である独IDS シェアーが構築した。 (2010/4/26)
地銀共同センター [金融業]
秋田銀行が共同利用型システム利用開始
2010年5月に利用開始した。NTTデータの勘定系システム「BeSTA」などを利用して構築した共同利用センターである「NTTデータ地銀共同センター」を利用する。同センターの利用は、同行が10行目。システム開発の迅速化や、構築/運用コストの削減が狙い。同行は勘定系システムだけでなく、顧客情報管理システムや営業支援システムなどの共通化も推進していく考え。 (2010/5/6)
データマイニング [製造業]
ポーラがデータ分析基盤導入
顧客の購買履歴の分析用途に導入した。顧客サービスの向上や新製品開発の迅速化が狙い。機械学習技術の1つである構造的リスク最小化(SRM)原理を利用し、分析に必要な変数の選択などを自動化。専門的な知識がないスタッフでも簡単に分析できるように配慮した。システムにはサンブリッジのデータマイニング用ソフトウェア「KXEN Analytic Framework」(開発:米KXEN)を採用した。 (2010/5/11)