日本IBMは2010年8月18日、POWER7プロセサを搭載するUNIXサーバー「IBM Powerシリーズ」の新モデル追加を発表。日立製作所も9月1日、POWER7を搭載する「EP8000シリーズ」新モデルを発表した。大企業から中小企業向けまでの製品群を揃え、顧客の幅広いニーズに答える。
両社が発表した製品は、米IBMと日立製作所が2001年3月に締結した、サーバーに関する包括契約に基づき共同開発したもの。両社はPOWER7搭載サーバーを今年2月にすでに市場投入しているが、今回は最上位モデル「795」と、エントリーモデル「740」、「730」(日立製作所は未発表)、「720」、「710」を追加した(表)。
795モデルの概要
日本IBMの「IBM Power 795」と日立の「EP8000 795」は、POWER7を最大32個、コアを最大256個搭載する。これはPOWER6搭載の従来機「595」の4倍に相当し、同時処理するスレッド数は8倍の1024に及ぶ。1つの仮想マシンに割り当てられるコア数は0.1個から256個で、業務の特性や規模に応じてプロセサ資源を効率的に配分できるようにした。POWER7は使用するコアを減らす代わりに稼働するコアの動作周波数を引き上げる機能を備え、高い処理能力を求めるデータベース処理やデータ分析を高速化できるという。
信頼性を高めるための工夫も盛り込む。仮想マシンを制御するファームウェアをメモリーに2重コピーする「Active Memory Mirroring for Hypervisor」を装備。これにより、片方のメモリーに不具合が発生しても、一方のコピーを自動で呼び出し、不具合によるシステム停止を回避する。
なお、両社の795は搭載可能なストレージの最大容量が異なる。両製品ともI/Oドロワーと呼ぶ拡張ユニットを接続することでストレージ容量を増やせるが、ディスク1台あたりの容量の上限が、IBMは1.5TBなのに対し日立は300GBとなる。
エントリーモデルの概要
各エントリーモデルはPOWER7を1〜2個搭載する。「740」と「720」はラックマウント(4U)とタワーがあり(日立製作所は740のタワー型は未発表)、「730」と「710」はラックマウント(2U)のみとなる。両社の同一モデルはストレージの最大搭載容量に違いがあり、IBMの「740」と「720」はI/Oドロワーを接続することで164TBまで搭載できる。
製品の価格
各製品の価格は表の通り。中でもIBMの710は100万円以下と目を引く。「x86に対して競争力のある価格にした。POWER7の信頼性を中小企業などにも広く訴求したい」(パワーシステム事業部長 高橋信氏)。 (折川)