「ネットワーク・カメラは、それ自体がコンピュータだ。インテリジェントな機能を搭載できる」──。ビデオ(映像)監視システムを手がけるスウェーデンのAxis Communications ABは2010年9月30日、映像監視カメラ全体におけるネットワーク接続型カメラの市場性と、市場を牽引する技術を説明した。
スウェーデンのAxis Communications ABでCEOを務めるRay Mauritsson氏は、映像監視カメラ市場で2000年以降に急速にシェアを拡大したデジタル型(ネットワーク接続型)カメラの進化を、いくつかのポイントを挙げて説明した。
2020年には、これらの進化により、ネットワーク接続型のシェアは80%に達し、売上高は160~180億米ドルになると予測する。
同氏は、従来の アナログ型カメラと比較した、ネットワーク接続型カメラの特徴を4つ挙げる。(1)ネットワーク・カメラ自体がコンピュータであり、カメラ自身にインテリジェントな機能を搭載できること。(2)サーマル(温度)カメラなど、新たな技術を適用した製品が続々と出てくること。(3)画質がよいこと。今後もよくなっていくこと。(4)PoE(Power over Ethernet)を用いて電源を供給できるため、設置が容易であること。
性能向上だけでなく新機能の追加で進化
特に、現在では、カメラ自身がインテリジェントな機能を備えられるようになり、単なる定点記録ではない使い方が可能になっている。カメラみずからが、これから起こる事象を事前予測してアクションを起こす。例えば、映像の中で怪しい動きをしている人物を検知し、人物の移動に合わせて複数カメラが連携動作して追尾する、といった具合だ。
温度カメラは、現在ではまだ軍事用途が主だが、今後は自動車において夜間の視認性を高める用途などで使われるようになる。画質の向上は、解像度とフレーム・レートを向上させる方向のほかに、WDR(ワイド・ダイナミック・レンジ)のような、新たな機能を搭載する方向が伸びる。
なお、英国の調査会社であるIMS Researchによると、映像監視市場は、2009年に82億6300万ドルで、2014年には144億7400万ドルになる。ユーザーの業界別の売上高の推移では、交通機関など運輸業界で大きく伸びる。アナログ・カメラに対するネットワーク・カメラの浸透度では、2009年時点で、小売と金融は、まだアナログが80%超と主流だが、医療・教育ではネットワーク・カメラが40%超と進んでいる。