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CO2排出量の管理をSaaSで実現、SAPジャパンが2010年11月にサービスを国内提供

2010年10月27日(水)IT Leaders編集部

SAPジャパンは2010年10月26日、企業のエネルギー消費量を一元管理するSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)「SAP Carbon Impact」を2010年11月に国内提供すると発表した。二酸化炭素(CO2)排出量の実態を可視化したり、各種の法規制に対応した環境報告書の作成を支援する。

 電気やガス、水道といったエネルギーの使用などによって排出されるCO2の量を一元管理し、Webブラウザ上のダッシュボードでグラフや表として可視化できる。

 CO2排出量に関する報告書の作成機能を持ち、英国の環境に関する非営利団体であるCarbon Disclosure Projectなどが規定する報告書のテンプレートを標準で用意。国内の環境関連の法規制である改正省エネ法や東京都の環境確保条例で必要となる報告書のテンプレートについては、国内の販売パートナーと共同で顧客に提供する。

 CO2排出削減のプロジェクトのコスト効果を把握するための仕組みを設けたのが特徴だ。太陽電池パネルの設置や電気自動車の導入といった環境プロジェクトの実施にかかる標準的なコストやCO2削減効果、それによるエネルギーコストの削減効果などをテンプレートとして用意。「環境対策のプロジェクトを雰囲気だけで実施するのではなく、プロジェクトが本当にコストに見合った効果を出せるかを把握し、実施の是非を判断できる」(SAPジャパンの脇阪 順雄バイスプレジデント)。

 また製造業向けに、特定の製品の生産から消費者の使用時まで、製品のライフサイクルで発生するCO2の排出量を一元監視する機能も持つ。

 エネルギー使用料金や消費量などのデータの入力については、複数の手段を用意する。電気料金などのエネルギー使用料金は、ERP(統合業務)パッケージからのデータ取得や、CSVファイルのインポートで取り込める。

 エネルギー消費量のデータについては、使用伝票の数値を手作業で入力する専用のGUIを用意するほか、生産機器のエネルギー使用状況データを自動収集して同社のERPパッケージに登録する製品「SAP Manufacturing Integration and Intelligence(MII)」との連携で入力可能。SAP MIIは、既に三菱電機の一部のFA機器からのデータ収集の検証が済んでいるという。さらにエネルギー使用量からCO2排出量に換算するためのリファレンスデータを用意し、CO2排出量を容易に割り出せるよう配慮した。

 サービスを運用するデータセンターは、米Amazon Web ServicesのIaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)の「Amazon EC2」を採用。同社のアプリケーション基盤製品「NetWeaver」などをベースに新開発した「Project "River"」と呼ぶ実行基盤上で動作している。

 同社はERPや顧客関係管理(CRM)などの機能をSaaSとして利用できる「SAP Business ByDesign」を、欧州などの中堅企業向けに提供している。国内でByDesignよりも先にCarbon Impactを提供するのは、「国内では基幹業務をすべてパブリッククラウドに出そうというユーザー企業はまだ多くない」(脇阪氏)という理由からだ。一方で法制度が頻繁に変更になる環境対応には、自前でのシステム構築よりもSaaSでの利用が適するとにらみ、2011年中に100社への導入を見込む。

 国内では、改正省エネ法や東京都の環境確保条例といった法制度で求められるCO2排出量の管理や報告書の作成機能を持つ安価なパッケージ製品やASPサービスが既に多数存在する。SAPジャパンはCarbon Impactの価格は明らかにしていないが、「提供する機能の数によって複数の価格メニューを用意し、スモールスタートを可能にする」(脇阪氏)考え。併せて、CO2排出量だけでなく環境関連のプロジェクトのコスト効果の把握機能などの多機能さを差異化要素として、顧客に訴求していく。

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