HANA導入支援サービス、SAP HANA Powered by FUJITSU/SAPジャパン、富士通 SAPのインメモリーデータベース「SAP HANA」は、ハードディスクではなくメモリー上にデータを圧縮・格納することで、大量データの高速分析を可能にするソフトウェア。専用機ではなく汎用ハードウェア製品にプリインスールしたアプライアンスとして提供する。このため、ユーザー企業は納品後、ネットワークに接続すればすぐ利用できる。従来、DB導入時に不可欠だったチューニング作業が不要であるため、設計・開発コストを大幅に低減できる。
6月に一般出荷を開始して以来、こうしたメリットを訴求し、グローバルで導入企業を増やしつつある。なかでも、日本での反響は大きいという。「海外に比べて、HANAに対する日本企業の関心は高い」(SAPのビジネスアナリティクス分野を統括するスティーブ・ルーカスジェネラルマネージャー)。グローバルでの導入数は明らかにしていないが、第1号ユーザーは野村総合研究所であることが明らかになっている。
今月、そうした傾向をさらに加速させそうな発表が2件あった。
富士通は2011年6月22日、「SAP HANA Powered by FUJITSU」を発売した。これは、同社のサーバー機「PRIMERGY」にSAP HANAを搭載したアプライアンス。価格は1500万円からで、処理するデータ量によって異なる。別途、SAP HANAのライセンスが必要。今後3年間で120システムを販売することを目指す。
これまで、HANA搭載アプライアンスを提供してきたのはIBM、デル、HP、シスコの4社。ここに、国産ベンダーが加わった意味は大きい。すでに、三井物産が同製品を検証し、導入を決めた。
SAPジャパン自らも、需要の掘り起こしに動き出した。同社は2011年7月5日、2種の導入支援サービスを発表。同日、提供を開始した。「データウェアハウス高速化アセスメント」は、企業が利用中のデータウェアハウスの問題点を特定し、HANA導入を含む複数の解決策を提示・比較するサービス。もう1つは、実データを使ってHANAの分析能力を検証する「Proof of Concept実機検証サービス」である。これらに加えて、導入方法論と分析テンプレートを提供する第3の支援サービスを、2011年9月までに提供する予定。
一気呵成に導入拡大を狙うSAP HANA事業にとって、最大の懸案は納期だ。アプライアンスという提供モデルの利点は、導入してすぐ使えること。ところが、せっかく受注してもハードの製造が間に合わず、顧客に実機が届くのは数カ月先になるケースがあるという。SAPジャパン リアルタイムコンピューティング推進本部の馬場渉本部長はこれについて、「ハードベンダーと受注見込みを共有し、契約の数日後には納品できる体制を整えたい。SAPジャパンが製品在庫を持つことも視野にある」とする。 (力竹)