ITに関わる様々な出来事やキーワード、事象について、本誌読者はどう見ているのか。 それを明らかにするのが、調査専門会社のMM総研の協力を得て実施する「DATA SPEAKS」だ。 今回は、3.11の震災後、関心が高まっている在宅勤務について聞いた。
MM総研+IT Leaders編集部
在宅勤務環境の導入/検討状況について読者1136人に回答してもらったところ、「本格導入」している企業は9%で、「テスト/部分導入」を加えても導入率は30%だった。しかし、「準備中」 「検討中」の導入予備軍は18%あり、先の震災やその後の計画停電を機に検討し始めた企業が多いことがうかがえる。一方、「まだ考えていない」は24%、「今後も導入しない」は28%だった。
在宅勤務環境を整備する企業(準備中と回答した14人を含む357人)に対し、導入済み/導入したいITソリューションを聞いた結果が図3である。「VPN+社内メールシステムへのアクセス権限」、「VPN+社内サーバーへのアクセス権限」での対処と答えた企業が、順に72%、67%と断トツに多く、この2つが目下の一般的な現実解であるようだ。
今後導入したいソリューションの1位は「Web会議」で、「整備済み」が26%であるのに対し「今後導入したい」は33%。2位は「クラウド上のOfficeソフトなど」で、「整備済み」は10%と少ないながら「今後導入したい」と考える企業は32%に達した。
また、「VPN+社内PC/シンクライアントへのアクセス権限」は整備済み/導入したいを合わせると54%に及ぶ。自宅にあるPCの画面に、社内PCの環境を転送して利用したいと考える傾向が強い。
一方で課題は何か(図4)。「セキュリティの確保」と答えた企業が、導入済みか検討段階かに関わらず64〜77%と一様に多い。とりわけ「テスト・部分導入」「検討中」と答えた企業でそれぞれ76%超と高い数値を示す。導入に向けて本腰を入れ始めようとしたとき、改めてセキュリティは大丈夫なのかといった問題意識を持つ企業が増えていることをうかがわせる。
人事制度の見直しが必要と考える企業も多い。検討レベルが低いほど課題と捉える傾向は強くなり、「検討中」とする企業は61%、「まだ考えていない」企業は66%に達した。欧米に比べて在宅勤務が定着していない日本の場合、まずは企業として許容する姿勢や業務評価の在り方を見直すことも考慮すべきだろう。
そのほか、「チームワークの崩壊につながる恐れあり」と考える企業が平均30%に達した、自由回答の中には「古い体質だから無理」、「経営層の意識、知識不足」などの意見も。検討前に漠然と抱く不安、本気で考え始めると顕在化する課題など、本格導入には数々のハードルがあるようだ。
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