垂直統合マシンの理解度─機能や技術を十分理解するのは一握り
2013年6月24日(月)折川 忠弘(IT Leaders編集部)
主要なベンダーが相次ぎ市場投入する「垂直統合マシン」。企業はこうした製品を十分理解した上で導入を検討しているのか。垂直統合マシンの将来性とメリット/デメリットなどについて聞いた。有効回答者数は675人。
ハードとソフトを最適な組み合わせで提供する「垂直統合マシン」。主要ベンダーの製品が出揃いつつある中、企業はこうした製品の機能や技術をどの程度理解しているのか。
結果を図1に示す。製品別に聞いたが、総じて理解度は高くない。発表した時期や、回答者が想定する理解度に差があることから一概に比較するのは難しいが、「十分理解している」はすべての製品で4%以下に留まる。一方「ほとんど理解していない」は各製品とも30%前後と高い割合を示した。
他社に先駆けて投入したオラクルの「Engineered System」も、「十分理解」「ある程度理解」を合わせて38.1%だった。導入時の煩雑な設定作業を簡素化する、運用負荷を軽減するといったメリットは理解度を問わず思いつきそうだが、具体的な機能や技術まで踏み込むと、必ずしも理解できずにいるようだ。
垂直統合マシンは今後、企業に定着するのか(図2)。「定着する」と答えた人は8.3%なのに対し、「定着しない」は2倍以上の19.1%に達した。垂直統合マシンについて十分理解しておらず、価値が分からないことから「定着しない」と答えた人が多いのかもしれない。とはいえ、図1の理解度同様、前向きな回答は現時点でそう多くない。
回答した理由も聞いた。「定着する」と答えた人の中には、IT要員の削減や技術革新のスピードが加速していることなどを引き合いに出し、導入や運用を簡素化できるシステムが必然になるという意見があった。
一方で「定着しない」と答えた人の中には、ブラックボックス化を危惧する声が多い。「内部構造を理解していないシステムを基幹系に利用できるのか」「障害対応が後手後手になりかねない」などの意見が多かった。
垂直統合マシンに何を求めるのか(図3)。「導入・運用におけるコスト削減」(47.3%)、「運用までの短期化」(43.4%)などが上位を占めた。これに対し、「システムの性能」(20.1%)や「システムの可用性」(20.0%)はそう多くない。これら要件は垂直統合マシンならずとも満たすことができる。むしろ直面する課題の切り札として垂直統合マシンに期待を寄せていることが分かる。
図には示さないが、垂直統合マシンのデメリットも聞いた。「ベンダーロックインになる懸念がある」「自由度が低く、自社固有の要件を組み入れられない」、「他の垂直統合マシンへ移行するのが難しくなる」などの意見が寄せられた。
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