インテルは2012年3月7日、サーバー向けプロセサ「Intel Xeon E5」を発表した。2010年に市場投入した「Xeon 5600」の後継に当たり、性能を最大80%向上した。
これまでのNehalemアーキテクチャからSandy Bridgeアーキテクチャに刷新し、各種仕様を大幅に強化した(表)。コア数は6から8へと増え、「ハイパースレッディング・テクノロジー」により最大16スレッドを同時処理する。定格の動作周波数よりも高速に動作させる「ターボ・ブースト・テクノロジー」も強化。これまで電力を監視して動作周波数を動的に変更していたが、温度も監視対象にすることで、きめ細かく動作周波数の移行を調節できるようにした。
接続できるメモリースロットの数も増やした。2プロセサ構成時の最大スロット数を18から24に拡張。メモリーの最大搭載容量は、従来の約2.5倍となる768GBに増強した。ただしメモリーの仕様により、スロットに挿し込めるメモリー枚数に制限があるので注意したい。
そのほか、I/Oコントローラの機能をプロセサに統合することでレイテンシを30%削減する「インテグレーテッドI/O」を装備。「ボトルネックとなり得る個所を徹底的に見直し、昨今のデータ量やデバイスの増加による負荷増大に対処した」(クラウド・コンピューティング事業本部 データセンター事業開発部長 福原由紀氏)。ただし、TDP(最大熱設計電力)は従来の130Wから150Wに上昇している。
大・中規模向けとなる2ソケット構成のXeon E5-2600シリーズと、小規模向けとなる1ソケット構成のE5-1600シリーズを用意する。動作周波数が2.90GHz、コア数が8個となるフラッグシップモデル「E5-2690」の価格は16万2960円(1000個注文時の単価)。
各社よりE5搭載サーバー登場
特定用途を想定した機能を強化
各サーバーベンダーも同日、Xeon E5搭載の新モデルを相次ぎ発表した。
デルは「PowerEgde」シリーズとして、ブレード型やラックマウント型など6機種を発表。内蔵ディスク数を増やしたモデルを拡充し、「Hadoopなどの大量データを分析する用途を見込む」(公共・法人マーケティング本部 サーバブランドマネージャー 布谷恒和氏)。
SSDを活用して性能向上も図る。ハードディスクで構築したRAIDのキャッシュとしてSSDを用いる「Cache Cadeデータアクセラレータ」を装備し、I/Oの高速化を図る。「データベースやVDIなどの、高い性能要求を満たすための機能と位置付ける」(同氏)。価格は2Uサイズのラックラックマウントサーバー「PowerEdge R720」が29万8200円からなど。
富士通も「PRIERGY」の新モデルとして4機種を発表した。1Uサイズのラックマウントサーバー「RX200 S7」は、オプションとして内蔵バッテリーを用意。別途UPSを設置せずとも、電力供給が瞬断した場合に対処できる。価格は29万3900円など。
HPC向けとして日本SGIは「SGI ICE X」など2機種を発表、同じく日本IBMは「IBM System x iDataPlex dx360 M4」を発表するなど、各社ともラインアップの強化を図る。 (折川)