[イベントレポート]
ERPは企業をfrustrateしてはならない、facilitateするべき?─スウェーデンIFS
2013年1月10日(木)力竹 尚子(IT Leaders編集部)
IFSは10月、スウェーデン第2の都市であるヨーテボリで「IFS World Conference 2012」を開催した。生産管理やサービス・マネジメント&設備資産管理、プロジェクト管理、サプライチェーン管理といったERP機能を開発・販売する同社の次の狙いは、モバイル+クラウドである。
「ワールドカンファレンスを開催するのは5年ぶり。その間、リーマン・ブラザーズの破綻に端を発する世界的金融危機があった。日本で起きた大きな自然災害とそれに伴う原発事故、中東や北アフリカで起きたソーシャル革命。まさに激動の5年だった」。
カンファレンスの幕開けで、アレステア・ソービー最高経営責任者はこう振り返った(写真2)。「それにもかかわらず、当社は業績を伸ばしてきた。逆境のなかに好機を見出しつかみとるために、当社のERPを活用する企業が増えているからだ。ERPは、企業をfrustrateしてはならない。facilitateすべきだ」(同氏)。
スマホアプリ開発に5社が名乗り
実は、同社は2012年6月にERPパッケージの新版「IFS Application 8」を提供開始という大きな発表をしたばかり。それにもかかわらず、今回のカンファレンスでは新発表が相次いだ。なかでも目玉となったのは、ERP機能をiPhoneやWindows Phone、Android端末で利用するためのアプリ「IFSタッチアップス」だ。
今回、提供を開始したアプリは7種類。プロジェクトの作業時間や参加状況を報告・確認する「IFS Time Tracker」や、外出先でリアルタイムの旅費精算を可能にする「IFS Trip Tracker」、顧客情報や日々の営業活動などを入力・参照できる「IFS Sales Companion」などである(表1)。マイクロソフトのAzure上に構築したIFSクラウド上で稼働するSaaSとして提供する。「いずれも、既存の機能を単に移植したのではなく、スマートフォンで使ってこそ生きる機能に絞って新規開発した」(研究開発最高責任者であるトーマス・セルド氏)。
今後3年以内に、人事管理やSCM、プロジェクト管理、会計といったパッケージ機能をモバイル環境で利用可能にするアプリを提供していく。このため、外部ベンダーの力も援用する。11月15日にタッチアップス パートナープログラムを発足。今後、パートナーが開発したアプリをIFSクラウドに集約していく。プログラムにはすでに、5社が参加を表明済みだ(写真5)。その1社であるNECの製造・装置業ソリューション事業本部長である平野文康氏は「パートナープログラムに沿ったアプリ開発は、その販売による直接的な利益貢献のほか、技術的優位性を示す手段にもなる」と意欲を見せる。
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