iPhoneやiPad、iPodでのクレジットカード決済サービス「ペイメント・マイスター」を提供するフライトシステムコンサルティングは2013年4月11日、新決済端末「Incredist(インクレディスト)」と、同端末を使った電子マネー決済サービスを発表した。
iPhoneやiPad、iPodでのクレジットカード決済サービス「ペイメント・マイスター」を提供するフライトシステムコンサルティングは2013年4月11日、キャッシュカードや電子マネーにも対応できる新決済端末「Incredist(インクレディスト)」と、同端末を使った電子マネー決済サービスを発表した。
Incredistは、各種カードの読み取り装置と、2次元バーコードリーダーを備えた決済専用端末(写真1)。iPhone/iPad/iPodとは、Bluetooth4.0で接続する。従来は、iPhone/iPad/iPodに直結するカードリーダーを提供してきたが、Incredistは別きょう体で運用する形にした。その理由をフライトシステムの片山圭一朗社長は、「iPhoneなどが、バージョンによって外観やインタフェースが変わるようになってきた。その都度に対応していると、市場が求めるタイミングに遅れてしまうため」と説明する。
対応カードとして磁気記録のクレジットカードのほか、ICチップ搭載のクレジッカード、銀行のキャッシュカードと、NFCを使った非接触ICカードを追加した。これにより、1台のIncredistで、クレジット決済とデビット取引、電子マネー決済という複数の決済手段に対応する。
電子マネー決済の最初の取り組みとして、セブン&アイグループが展開する電子マネー「nanaco」による決済サービスを今夏にも開始する。具体的には、トッパンフォームズ傘下のITサービス会社であるTFペイメントサービスが提供するクラウド型の電子マネー決済サービス「Thincacloud(シンカクラウド)」を採用し、nanacoを運用するセブン・カードサービスとの間で決済処理する。
Thincacloudは、日本HPの「FeliCa」ICチップにアクセスするためのミドルウエア「HP IC-Chip Access Server for FeliCa(ICAS)」を使って電子マネーの決済サービスを提供している。ICASのクライアントソフトが7月にもアップルのiOSに対応することから、Incredist 向けの決済サービスを開始する。
nanacoを運営するセブン・カードサービスで電子マネー開発部を担当する磯邊俊宏執行役員は、Incredistによるサービス開始の背景について「独自の決済端末を自前で配布し続けることにはコスト的にも限界があるし、自社グループなど限られた範囲での利用にとどまりがちだ。ハードなどの汎用化が進めば利便性が高まり電子マネー市場はさらに広がるとみている。今後は、決済そのものよりも、決済インフラを使った顧客の集客といったサービスが重要になってくる」と説明する。
Incredistの価格はオープン。フライトシステムによれば、一般的なWindowsベースのPOS(販売時点売上管理)システムに、複数台の個別カード対応端末を装着すると100万円前後するのに対し、iPadと関連ソフト、Incredistの組み合わせなら10万~20万円で構成できるという。既に数千台単位の先行受注があるとしている。
写真2:電子マネー決済サービスを発表する関係各社のトップや担当者。左から、TFペイメントサービスの黒羽二朗社長、フライトシステムコンサルティングの片山圭一朗社長、セブン・カードサービスの磯邊俊宏執行役員、日本HPの藤野一紀プログラムマネージャ