米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)が2013年5月23日、都内で会見し、日本国内に同社のパブリッククラウドサービス「Windows Azure」を提供するためのデータセンターを開設する計画を明らかにした。
これまでWindows Azureは、香港とシンガポールにあるデータセンターから提供されてきた。データを海外に持ち出したくないなど、国内データセンターにこだわる場合は、富士通が「Fujitsu Global Cloud Platform FGCP/A5 Powered by Windows Azure(FGCP/A5)」の名称で提供するサービスを利用するしかなかった。会見に同席した日本マイクロソフトの樋口泰行 代表執行役 社長は、「金融機関や公共機関などのニーズに応えられる」とする。
バルマーCEOはまた、同社の経営ビジョン「デバイス&サービス」に触れ、Windows8.1による次世代デバイスの実現や、Windows Phone 8の日本市場投入に向けて準備を進めていることなどについても言及。オンラインサービスである「Office365」やIE10もWindows 8に最適化を図っていることで、デスクトップやタブレットの利用環境を高めているとした(写真1)。
樋口社長が質問する形で進行した会見の後半では、まずWindows Azureの競合他社との優位点について、バルマーCEOは「オンプロミスやクラウドの別を問わず、インフラから開発、運用、セキュリティまでのすべてが統一されていることと、100台規模のサーバー環境を運用しているという経験に基づいていること」を強調する。
デバイス&サービスについては、「入社時からソフトウェアが持つ価値を信じおり、それは今も変わらない。ただ、その価値を顧客に届ける方法が大きく変わった。今後は、データセンターから各種のデバイスとともに配信することが主流になる」(バルマーCEO)として、ハードウェア・ベンダー各社と設計段階からの協業を強化する方針を示した。
また日本市場をスキップし、中国など新興国に投資が集中するとの見方については、「新興国だけでなく、日本や欧米でも成長できると確信している。イノベーションの会社として、新しいアプリケーションを実現していかなければならない」(同)と述べた。
なお、マイクロソフトによる国内データセンター開設で競合する富士通のFGCP/A5については、「FGCP/A5とWindows Azureの相互に価値を高めるための連携を図る。両者の戦略的協業は継続させていく」(樋口社長)としている(写真2)。