データベース分野をはじめとするITのあらゆる局面で競合、競争してきたのが米オラクルと米マイクロソフト。そんな両社が一転、提携を発表した。
発表の案内があって以降、両社がどんな形で手を組むのか、米国では内容を巡って関心を呼んできた。発表された内容は決して派手ではないが、企業にとっては意味が大きく、歓迎すべき動きと言えるだろう。
提携の内容は、下記の5点である。
- 両社は、DBMSやそのほかのオラクル製品がWindows Azure、Windows Server Hyper-Vで稼働することを保証(certified)する。問題があれば両社が共同で修正する。
- オラクルソフトウェアのライセンスはAzure上でも有効でとする。「ライセンスモビリティ」と呼ぶ仕組みで、オラクルのユーザーはシステムをAzureに移行した場合に追加の料金支払いが不要になる。
- マイクロソフトはオラクルのソフトウェアをIaaSのインスタンスとして提供する。言い換えればOracleDB、WebLogic、Javaなどを使いたいとき、即座に使えるように、Azure Image Galleryの形で提供する。
- マイクロソフトはjavaに関して開発ツールなどを含めてAzure上で提供する。
- Oracleは、オラクル版のLinux、および事前設定済みのインスタンスをAzure上で提供する。これでRedHat Lunuxを除く主要なLinuxがAzureで利用できるようになる(すでにサポートされているのはUbuntu、CentOS、SUSE Linux)。
なお上記のうち、1,2は2013年6月24日から可能に、それ以外は今後順次提供される。今回の提携は、マイクロソフトにとってはSQL Server一本足に比べてAzureの普及を加速させる好材料になる。
自社のクラウド事業拡大を目指すオラクルにとっても直近の収益源であるソフトウェア製品の拡販、あるいは顧客つなぎ止めにつながる。問題は今回の提携がそれ以上に発展するかどうか。これまでの両社の関係からすると可能性は低いが、他社からの攻勢に合う立場の両社だけに、ゼロとは言えない。
マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、「我々は企業が必要とするワークロード(システムやアプリケーション)を、プライベート/パブリックのクラウド、もしくはその両方で稼働させることをコミットしてきた。今回の提携で顧客はWindows Serverと全く同じようにハイブリッドなクラウド上で、オラクル製品を利用できる」とリリースの中でコメントした。
同様にオラクルのマーク・ハードCOOも、「オラクルは多様な環境をサポートすることで、顧客に選択肢を提供することをコミットしている。今回のマイクロソフトとの提携は、顧客の利益という点において重要だ」と述べている。