中国の主要メディアの報道から、中国国内のIT・テクノロジー関連の最新動向をご紹介する、中国電脳事情。1カ月間に報道された中国国内の主要なニュースを取り上げる。
IT大手による「影の銀行」の参入ラッシュ勃発か?
--新京報(7/19)
アリババグループ傘下で、中国版PayPalとも呼ばれるオンライン決済サービス事業最大手の支付宝(Alipay)。その同社が2013年6月から開始した新サービス「余額宝(Yu Ebao)」が非常に画期的だと評判だ。余額宝の会員は、自身のアカウントにチャージした現金の残高からそのままファンド投資が行える上、その残高はいつでもオンライン決済に利用できる。このファンドは主に天弘基金(Tianhong Fund)が発行する金融商品「増利宝」で、かなり高い利回り(※訳者注:7月29日時点の利回りは4.369%)となっている。
中国ではオンラインショップでの決済にクレジットカードを用いるのは主流ではなく、「第三者保証サービス」を兼ねたオンライン決済サービスの利用が一般的だ。そのため、余額宝の人気ぶりは、既存の銀行業に相当の影響を与えると見られている。
そんな中、中国ポータルサイト最大手の新浪の傘下企業が中国人民銀行(中央銀行)の免許を取得し、新サービス「微銀行」を開始する。突如勃発したIT企業による「影の銀行」の参入ラッシュに、既存の銀行関係者の声はさまざまだ。「IT企業の新規勢力は伝統的な銀行経営モデルを崩壊させるという人がいるが、まだ時期尚早だ」(中国銀行業監督管理委員会のイノベーション監督部主任、王岩岫氏)、「既存の銀行業もオンライン決済サービスによる市場拡大の恩恵を受けている」(中国銀行の電子銀行部長補佐、董俊峰氏)。また、招商銀行副社長の丁偉氏は、「そもそも銀行は預金、融資、送金の3つが揃って成立する。余額宝のように莫大な民間資金がファンドに流れてしまったら、銀行業が成り立たなくなる」と危機感をあらわにした。
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