ITトレンドにおいて、米IBMや米Microsoftと言った旧来の大手ベンダーが流れの中心ではなくなってきている。代わりに、米Googleや米Amazonといったサービス事業者が、新たなトレンドを作り出している。利用者にすれば、IT戦略を大手ベンダーに委ねるのではなく、「サービスをどう組み合わせて使っていくのか」に重点を移さなければいけない。そのためにはITトレンドを見誤らない大局観が必要である。
「CIAが10年契約をアマゾンと。『アマゾンのテクニカルソリューションの方が優れていた』」「デルの非上場化が実現へ」「マイクロソフトがノキア携帯事業を買収」――。IT業界における最近のビッグニュースをみれば、IT業界が大きく変わりつつあることが分かる。
かつては米IBMのメインフレームに始まり、Wintel(マイクロソフト+インテル)のPCプラットフォーム、旧SUN Microsystemsのサーバー、米Oracleのデータベースなど、大手ベンダーがIT業界の中心にいた。それが、プラットフォームが、クラウドとスマートフォン(スマホ)やタブレット端末に変化したことで、クラウドサービスを手がける米Googleや米Amazonや、モバイルサービスを展開するキャリア、スマホやタブレットを販売する米Appleなどが、ITトレンドの中心に位置するようになってきている。
クラウド時代は「作る」から「使う」へのシフトが加速
クラウドの代表例である「AWS(Amazon Web Services)クラウド」は使う道具ではあっても、それに従う対象ではない。かつては、ハードウェアを購入し、ソフトウェアを導入し、アプリケーションを開発する必要があった。そのため、これらを賄える資本が差別化要因となっていた。だがクラウドの時代になり、サーバーやストレージといったコンピュータ資源をインフラサービスとして時間単位で買えるようになった。自分たちが「何をしたいのか」を元に、必要なサービスを集める時代が訪れたわけだ。
クラウドの便利さは加速する一方である。新興のクラウド・サービスプロバイダーである米DigitalOceanのように、わずか55秒で開発環境を準備できるサービスも現れている。これらのインフラサービスを使うことで、ピーク時にはアクセス数が通常の100倍を越えるようなゲームサイトやWebサイト、ビッグデータによるマーケット分析など、従来はインフラへの初期投資が壁になり参入が難しかった分野にも、ベンチャー企業が参入できるようになっている。
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