紙パルプの製造、販売を中核とする、王子ホールディングスは、このほど業務システムの仮想インフラを刷新した。グループの情報システムを担当する、王子ビジネスセンターの島田政明取締役 業務本部長が、IBMが2013年11月19日に開催した「IBM PureSystems先進活用事例説明会」で紹介した。
今回、刷新したのは、ホールディングスやグループ各社が共同利用する、仮想サーバーインフラである。旧インフラは、IA物理サーバーを統合するため、2008年に構築した。一部の特別なシステムを除き、大半のIAサーバーを移行済み。会計や決算、経費精算、購買管理、就労管理などが稼働する。利用拡大に伴い、リソースが枯渇、新たにインフラを構築するに至った。
きっかけを作ったのは、2011年から始めた、グループ企業向けの仮想サーバー提供サービスである。コストが安く、運用の必要もないとあって、各社での採用が相次いだ。「今や、どのグループ会社も、仮想サーバーを“指名買い”する。その結果、180台のサーバーを収容するつもりで設計したインフラに、300台以上ひしめき合う状態になった」(王子ビジネスセンターの島田政明取締役)。
リソースの枯渇に対応するには、既存インフラを拡張する手もあった。国産ベンダーのブレードサーバーを使用しており、ブレードを追加すれば、リソースも増やせた。それにもかかわらず、刷新に踏み切ったのは、仮想インフラの重要性を認めたからだ。
「当初こそ、稼働要件が比較的緩いシステムだけを利用していたが、安定稼働の実績を重ねるにつれ、仮想インフラを利用可能な範囲が広がってきた。4段階あるSLAのうち、最上級のSランクのシステムでも利用し始めている。仮想プールをさらに拡張して、グループ企業のIAサーバーを巻き取っていきたいと考えた」(王子ビジネスセンターの島田政明取締役)。
そのための基盤として、既存インフラは心許なかった。例えば、過去の運用で、旧インフラを設計した時には見えていなかった、課題も浮かび上がっていた。サーバーのアーキテクチャもその1つだ。「単体での利用を想定したブレードサーバーは、1台あたりのメモリー量が少ないため、運用で苦労した。仮想インフラを運用する上では、メモリーの柔軟性が欠かせない」(島田氏)。
リースの都合上、いったん、インフラを拡張すると、数年間は、既存の仕組みを使い続けなければならない。最終的には、今後、数年間使い続けるのは困難と判断した。
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