企業におけるスマートデバイス活用のトリガーを引いたiPad 2が登場したのは2011年3月のことだ。それから約3年が経過した今、スマートデバイスの業務活用はどんな状況にあるのか。企業のIT投資動向や、モバイルデバイスの活用状況に詳しい、ITRのシニア・アナリスト、舘野真人氏に話を聞いた。
――国内企業のモバイル活用は着実に広がっている?
舘野氏:企業はスマートデバイスに引き続き関心を寄せている。ただし、実際に活用している企業の数はさほど伸びていない。デバイスを活用している企業と、そうでない企業で2極化している印象だ。
まず、図を見てほしい。企業におけるスマートデバイスの利用状況を調べたものだ。これを見ると、導入率はほとんど伸びていないことがわかる。2011年度調査以降、15~16%と大差なく推移している。
いったんは、スマートデバイスの業務活用を検討したが、最終的に実施しないと判断した企業も増えている。2011年度調査では4.5%だったが、2012年は8.8%、2013年度は9.6%だった。
ただし、企業全体で見ると、スマートデバイスの投資額は伸びている。図は、2013年末に実施した「IT投資動向調査2014」の結果だ。インフラ、ハードウェア分野では、タブレットやスマートフォンに対する投資額の伸び率が高い。昨年も、同じ結果だった。
スマートデバイスへの投資額は増えているが、導入企業の数はそれほど増えていない。つまり、一部の企業がスマートデバイスの利用範囲を拡大させていることがわかる。例えば、パイロット運用を経て、大規模展開に踏み切ったり、ある部署の取り組みを別部署に横展開したりといった具合だ。
●Next:スマートデバイスへの“温度差“の背景は?
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