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EMCジャパン、ストレージ仮想化ソフト「EMC ViPR 1.1」を発表

2014年3月27日(木)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

EMCジャパンは2014年3月26日、異機種ストレージの混在環境を有効活用するソフト「ViPR」(ヴァイパー)の最新版「ViPR 1.1」を発表、同日より提供を開始した。ViPRは、仮想化技術などを用いてタイプやベンダーが異なるストレージを論理的に束ね、サーバーに対して一元的にボリュームを割り当てるもの。同社のコンセプト「Software-Defined Storage」を具現化するプラットフォームである。

ViPRは、昨年5月開催の年次イベント「EMC World 2013」(米ラスベガス)で公表された戦略製品の1つだ。同年11月には初の製品版となるViPR 1.0をリリース。その後、大手ユーザー企業やパートナーによる検証がグローバルで行われ、それらのフィードバックを反映したバージョンが今回のViPR 1.1という位置づけだ。

EMCジャパンの渡辺浩二氏

「ストレージの抽象化は何年も前から提唱されていたが、なかなか実装が進まなかった。ViPRは物理ストレージのさまざまな制約を取り払い、異機種混在環境でもシームレスなストレージ管理を実現する当社の独自技術。我々が目指す"Software-Defined Enterprise"の基盤として、今後もユーザー企業やパートナーと共に進化させていく」。発表会の席上、EMCジャパンの渡辺浩二氏(マーケティング本部 フィールドマーケティング部長)はこう説明した。

ViPRを支える2つの機能:コントローラとデータサービス

ViPRの実体を見ると、コントローラ(ViPR Controller)とデータサービス(ViPR Data Services)という2つのサーバー向けソフトウェア(VMware仮想アプライアンス)で構成している。

図1 ViPRはコントローラとデータサービスにより構成される

前者、ViPR Controllerの中核機能は、異機種混在のストレージプールから必要な容量ボリュームをプロビジョニングすること。配下にある物理ストレージの仕様や性能を一元管理しており、要件に応じた適切なストレージを動的に選択して、ボリューム作成やスイッチ設定などを自動的に処理する。

一連の作業を人手で対応する場合、管理者がストレージ製品固有の仕様やそれぞれに紐づいているツールの使い方を理解しておかなければならず、手間や時間がかかりがち。「通常では数日~数週間かかることもある。ViPR Controllerはこうしたプロビジョニングにまつわる作業量を劇的に削減し、数分にまで短縮することが可能だ」と石井善志彦氏(プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 ASD担当)は話す。

図2 ViPR配下のストレージであれば異機種混在でも一元管理が可能に

今回のアップデートにおいては、クラスターを組んだサーバーに対するプロビジョニング、OS起動領域を取り扱えるようにするBootLUNプロビジョニング、ファイルシステムマウント機能の拡張、同社のハイエンド機「Symmetric VMAX」向けのリモートデータ複製機能(SRDF)への対応、などを追加実装した。

もう1つの構成要素であるViPR Data Servicesは、当該ボリュームに対するアクセス方式<ブロック/ファイル/オブジェクト>の違いを仲介するもの。1つの売りとして、今後増大が予想されるモバイルコンテンツ、テキスト、メール、電子スキャンなどのファイルデータをオブジェクト形式に変換して保存できることを挙げている。

ちなみにオブジェクトストレージとは、IDとメタデータを用いたフラット空間でデータを管理するタイプの製品。Amazon S3などクラウド分野で使われており、スケーラビリティやコスト効率の点で広がりを見せている。一般に、Office文書や、写真/動画といった非構造化データはファイルストレージに格納されることが多いが、アクセス頻度の低いデータであれば、低コストで大容量のオブジェクトストレージに移行したほうが効率的である。

EMCジャパンの石井善志彦氏

もっとも、ファイルストレージからオブジェクトストレージに大量のデータを移行するには、1つひとつのファイルにオブジェクトIDを付与しなければならず非常に手間がかかる。ここでViPR Data Servicesは、「個々のファイルに高速かつ自動でIDを付与することができる」(石井氏)ため、大量ファイルの一括移行が可能になる。また、社内のストレージだけでなく、AWSなどのパブリッククラウドへ移行し、アーカイブとして活用することも容易だという。

さらに今回のアップデートでは、ファイルストレージ内の一部をHDFS領域化し、その領域内の既存データをオブジェクト化することができるため、Hadoopアクセスをベースとしたビッグデータ解析も可能になる。「ViPR制御により、ファイルストレージの一部をオブジェクトストレージに変えるイメージで活用できる」(石井氏)。

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