クラウドやモバイル、ビッグデータといったテクノロジーが企業情報システムに大きな影響を与える中、かつて大きな注目を集めた「ERP(Enterprise Resource Planning)」への関心は薄れているようだ。だが、独SAPや米オラクルは今も成長を続けている。ERPベンダーは常に、企業情報システムの“あるべき姿”を描いているのではないだろうか。
企業の経営資源である「人・モノ・金」を一元管理し、最適に配置・活用することで利益率の最大化を図る――。こんなコンセプトをもって登場したERP(Enterprise Resource Planning)パッケージ。1990年代には日本市場でも、そのコンセプトを学び、従来の個別開発システムからの移行が大きく取り沙汰された。
会計機能を中心に導入されたERPパッケージは今や、企業の中核に位置し、安定稼動を前提とした“成熟したシステム”のイメージが定着しつつある。今以上の機能拡張や追加投資は不要と考える企業は少なくない。ERPベンダーを代表する独SAP自身が、「SAP ERP 6.0」以降のメジャー・バージョンアップを止めると2007年に発表。「EhP(エンハンスメントパッケージ)」による機能拡張に留めている。
並行して、ERPパッケージへの関心は薄れ、同時に「人・モノ・金」の最大活用についても、ERPとは異なる場所で議論されることが増えているようだ。「ポストERP」の登場を望む声も少なからず聞こえてくる。
伸び続けるERPベンダーの株価
であれば、ERPベンダーは最早、さらなる成長が見込めず、市場における評価が下がっていくはずだ。実際はどうなのだろう。
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