「SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)」というキーワードが登場して約30年が経つ。企業全体のコストの最適化を図るために、多くの企業がSCMに取り組んできた。しかし、先進企業は、より深部の業務課題にフォーカスし、さらなるコスト改革へ取り組んでいる。前回は、多くの企業で本質的な取り組みが遅れている「サプライヤー管理」について解説した。第6回は、急激なグローバル化の進行による環境の変化によって、改革への着手が急務となっている「供給力の強化」を取り上げる。
グローバル化が加速する中で、日本企業がこれまで強みにしてきた、いくつかの“力”が確実に弱まっている。中でも、その維持自体が困難になってきているのが「供給力」である。
「供給力」とは何か。当社では、供給力を以下のように定義している。
適正な在庫レベルを保ちながら、顧客需要に対して安定した製品の供給ができる力
これまで供給力は、日本の製造業の強みだとされてきた。今も、グローバル競争を勝ち抜く方策を論じる際には、供給力は高い水準で保たれていることを前提にした論調が少なくない。例えば、「グローバルなマーケットニーズを的確にとらえ、需要精度を高めることが重要だ」とするSCM(Supply Chain Management)改革においても、需要変動に追随できる供給力ありきで話が進んでいる。
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