「SCM(Supply Chain Management:サプライチェーンマネジメント)」というキーワードが登場して約30年が経つ。企業全体のコストの最適化を図るために、多くの企業がSCMに取り組んできた。しかし、先進企業は、より深部の業務課題にフォーカスし、さらなるコスト改革へ取り組んでいる。前回は、急激なグローバル化の進行による環境の変化によって「供給力」が低下していることと、4つの改革テーマの1つを紹介した。第7回は、改革テーマの2〜4を説明する。
前回、日本企業において、「供給力」の維持が困難になってきている理由を解説し、その改革テーマとして、次の4つを挙げた。
改革テーマ1:取引国別のサプライヤー管理方法論の確立
改革テーマ2:中間品/部品への“意思入れ”計画による供給リスクへの対応
改革テーマ3:高度化したITの活用による品質安定化リードタイムの半減
改革テーマ4:リスク予知型マネジメントへのシフト
改革テーマ1については前回に説明した。以下では、改革テーマの2〜4のそれぞれについて、取り組みの考え方と要点を述べたうえで、ITがどのように貢献できるのかについて説明していく。
改革テーマ2:中間品/部品への「意思入れ」計画による供給リスクへの対応
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サプライチェーンが複雑化し、かつ、顧客要求納期がより一層厳しくなる中、製造各社は、顧客への納入リードタイムを短縮する必要に迫られている。そのため多くの企業は、「ATO(Assemble to Order)」と呼ばれる生産方式を採用している(図1)。部品の調達や中間品の生産までを事前に進めておき、受注後に製品を最終的に組み立てる方式だ。
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