「SCM(Supply Chain Management:サプライチェーン・マネジメント)」というキーワードが登場して約30年が経つ。企業全体のコストの最適化を図るために、多くの企業がSCMに取り組んできた。しかし、先進企業は、より深部の業務課題にフォーカスし、さらなる改革へ取り組んでいる。前回は、物流センターにおけるリソースマネジメントを紹介した。第4回は、SCMの最前線として、従来に増して期待が高まっている販売・営業分野におけるモバイル改革を取り上げる。
販売・営業分野は、Supply Chain(サプライチェーン)において、顧客に最も近く、かつ重要な位置を占めている。販売実績に表れる数値情報だけでなく、顧客の要望や不満、他社製品との違い、売れる売り場の形など、顧客接点ならではの情報を獲得できるからだ。
にもかかわらず、経営層から現場までをつなぐ情報連携など“縦連携”の欠如や、企画から生産、物流、コールセンターまでの他部門との情報連携といった“横連携”の欠如により、情報が分断され上手く活用されていないのが現状だ。加えて、営業現場のマネジメントや効率性の面で、属人性が高いが故の難しさもある。
販売・営業に向けた支援策としては、SFA(Sales Force Automation:営業活動支援)、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)といったキーワードが存在する。これらは、それぞれが独立した仕組みだと考えられがちだった。だが、今後はSCM(Supply Chain Management)の一部として、情報連携や情報流通の観点でとらえ直すべきだ。
SCMの一部となったSFA/CRMでは、顧客接点に対して、どのような情報を届けるのか、どのような情報を吸い上げ活用していくのかを解決できる仕組みでなければならない。そこでの販売/営業活動は、R&Dや生産、物流、販促、コールセンターやアフターサービスなど、SCMの様々な領域と連携し、顧客に付加価値を提供し、企業の売り上げ向上につなげる役割を担うことになる。
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