名刺管理サービスを提供するSansan。個人向けサービス「Eight」事業部では、データ分析に基づき、新機能の追加やサービスの改善をしている。データ量の増加や、分析の複雑化に伴い、分析基盤のパフォーマンス不足に直面。このほど、基盤をリニューアルした。サービスの担当者に話を聞いた。(聞き手は川上潤司=本誌編集長)
Sansan Eight事業部で開発統括責任者を務める宍倉功一氏(左)と、データ分析を担う鈴木康寛氏―ビジネスパーソンに欠かせない名刺交換。貴社は名刺のスキャンやクラウドベースの管理など特徴的なビジネスを展開しているわけですが、今回、データ分析基盤を構築したとのことですね。
宍倉:はい。個人向け名刺管理サービス「Eight」を運営する際に使用しているデータ分析基盤です。データ量の増加や、分析クエリーの複雑化に伴い処理時間が長くなっていたため、インフラをリニューアルしました。
―サービスの運営に使用する分析基盤、ということですが、普段、具体的にはどんな分析をしているのですか?
宍倉:大きく2種類あります。1つは、事業目標の達成率を測るための分析です。例えば、新規会員の獲得数や、名刺の新規登録数の動向を把握します。これらは経営陣に日次で報告します。
もう1つは、サービスの課題や改善状況を洗い出すための分析です。私たちは、1週間サイクルでサービスを強化したり、改善したりしています。この際、データ分析を通して、改善すべき課題を洗い出したり、実施した施策の効果を検証したりするのです。
鈴木:指標は、その時の開発テーマによって変わります。例えば、新機能をリリースした時は、どれくらい利用されているか調べます。
ガイダンスの文言を変更した時は、ユーザーの利用率が向上しているか、サービス内の移動がスムーズになったかなどを調べます。過去3カ月に1回もアクセスしていないユーザーを調べて、キャンペーンを打つといったこともします。
―データ分析を手がかりにしながら、サービスの品質を高めている、というわけですね。しかし、Eightはフリーの個人向けサービスですよね。なぜ、そこまでの投資を?
宍倉:確かに、現在は無料サービスですが、将来的に有料の追加オプションを提供する予定です。現在はその準備段階。たくさんの人々に使ってもらい、デファクトスタンダードになることを目指しています。それが、Eight事業部に課せられた事業目標なんです。
ユーザーの支持を集めるためには、圧倒的に使いやすいアプリを開発しなければなりません。例えば、UIを磨き、便利な機能を追加する必要があります。ただ、こうした活動は、重要度や効果が見えにくく、開発者の自己満足に左右されがちです。
開発に投入できるリソースは有限ですから、優先順位をつけて、重要なものから取り組み、その結果をチェックしていく必要があります。そのために、データという客観的な指標が必要なのです。
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