中華総菜を中核とする食材製造・販売の丸松物産は2014年12月、クラウド型ERPを導入した。まず、販売管理と物流管理、発注仕入管理、経費支払システムを稼働。2015年3月に給与システムを追加する。会計や生産管理システムも同じ環境に移行させ、製・販・在の各業務で発生するデータを一気通貫に管理できる体制を整える。
中華総菜を中核とする食材製造・販売の丸松物産(本社:東京都世田谷区)は、食の安心・安全に対する消費者の関心の高まりを受け、HACCP(食品の製造・加工工程の衛生管理手法、注1)やISO 22000(食品安全マネジメントシステムの国際規格)への対応を急いでいる。しかしそのためには、より詳細で迅速なデータ管理・活用が不可欠だった。
注1:HACCP(ハサップ)は、Hazard Analysis Critical Control Pointの略で、「危害要因分析(に基づく)必須管理点」「危害分析(に基づく)重要管理点」などと訳される
システム自体の老朽化・複雑化も問題となっていた。というのも同社は1990年代、販売管理システムをCOBOLで構築。以来、改修を繰り返してその延命を図ってきたものの、運用・保守要員が高齢化するにつれて業務継続のリスクが高まっていたからだ。
一方、会計と給与システムにはパッケージソフトを利用していた。しかし、いずれも大幅なカスタマイズを施していたため、修正や変更作業が煩雑かつ属人的になっていた。
そこで、これまで社内に散在していた販売や生産、物流、会計データを単一のクラウドサービスに統合。クラウドサービス上で一元管理する体制作りに着手した。今回、その最初の一歩として新たな販売管理、物流管理、発注仕入管理、経費支払システムを稼働させた。
すでに、クラウド利用によるメリットが出始めている。社内におけるシステムの改修や運用保守といった業務を大幅に削減できたほか、セキュリティや災害時の事業継続についても一定のメドをつけた。
今後、新システムの適用範囲を段階的に拡大していく。2015年3月に給与システム、同年7月に会計およびEDI/EOS、2016年7月に生産管理システムを移行させる。部門を超えたデータ活用を可能にすることにより、業務改善や顧客サービスの向上につなげていく。具体的には、販売計画に基づく生産計画の立案や、原材料レベルのトレーサビリティ実現などを目指す。
新システムには、富士通グループの加工食品業向けサービスを採用した。富士通マーケティングと富士通システムズ・イーストが構築を支援した。
【プロジェクトの概要】 | |
ユーザー名 | 丸松物産 |
事業内容 | 食材製造・販売 |
導入システム | クラウド型ERP |
導入目的 | 運用負荷の軽減、業務改善、顧客サービス向上 |
主な利用製品 | 「AZCLOUD SaaS 食品」 |