[海外動向]
国家戦略「インターネット+」のカギを握る、中国3大ネット企業の最新動向
2015年3月30日(月)魯 玉芳(IT Leaders編集部)
中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏は2015年3月5日、2015年の政府工作報告(国務院が主導する行政報告)で、「互聯網+(以下:インターネット+)」という新しい行動計画を掲げ、モバイルやビッグデータ、IoTなどを駆使した経済成長を促進する構えだ。中国のインターネット企業と言えば、アリババ、テンセント、バイドゥが思い浮かぶ。インターネット+戦略を牽引するであろう3社の最新動向を紹介する。
EC事業で伸び続ける業界リーダーのアリババ
中国を代表するIT企業の1社であるアリババ(阿里巴巴、Alibaba)は1999年に浙江省杭州で、B2BのECを支援するマッチングサイトのAlibaba.comを立ち上げと共に創業した。以来、C2CとB2B2CのEC事業を中核に、現在ではソフトウェア開発/サービス事業にも力を入れている。
2014年におけるアリババ運営ECサイトのGMV(Gross Merchandise Volume:総取扱高)は、C2Cの「淘宝(Taobao.com)」が4940億人民元(約9兆6277億8000万円)、B2B2Cの「天猫(Tmall.com)」は2930億人民元(約5兆7104億円)までに達した。
また、同社のオンライン決済サービス「支付宝(Alipay)」は中国のオンライン決済市場でシェア1位となっている。
インターネット金融をはじめ、クラウドやスマートカーへ事業展開
現在、アリババはEC事業をグローバルへ展開していく一方で、他事業への進出も活発だ。
インターネット金融商品「余額宝(Yu’e bao)」は、上述のAlipayを介して直接、金融商品を購入できるサービスである。年金利は4.522%(2015年3月23日時点)で、0.35%の銀行普通預金口座と比べるとかなり魅力的だ。もちろん、預金者はいつでも自身の口座からお金を引き出すことができる。
クラウド事業への投資も強化している。同社は2009年9月から、クラウドサービス「阿里雲(http://www.aliyun.com/)」を運営し、その開発研究拠点として、中国の杭州と北京、米国シリコンバレーにR&Dセンターを置いている。また、2015年3月3日には、同サービスのデータセンターを中国本土と香港に続き、シリコンバレーにも開設すると発表した。同時に、中国クラウド業界のエバンジェリスト役として、国内外のクラウド情報を発信するほか、コミュニティを通して情報やアイデアの共有を行っている。
事例を挙げると、SAP中国法人のクラウドサービス「SAP anywhere」は、アリババのクラウド基盤上で構築したものである。ほかには、家電メーカーの美的(Midea)との提携によって、今後、美的製のすべての家電製品は、アリババのクラウドプラットフォーム上でつながることになるという。
先端分野への投資としては、 2015年3月12日に、中国の最大手自動車メーカーである上海汽車集団(上汽集団、http://www.saicgroup.com/)と10億人民元(約194億1210万円)を共同出資し、スマートカーの研究開発を行うと発表した。完成したスマートカーは2016年に発売する予定だ。