[海外動向]

国家戦略「インターネット+」のカギを握る、中国3大ネット企業の最新動向

アリババ、テンセント、バイドゥの大手3社が目指すイノベーション

2015年3月30日(月)魯 玉芳(IT Leaders編集部)

中国国務院(日本の内閣に相当)総理の李克強氏は2015年3月5日、2015年の政府工作報告(国務院が主導する行政報告)で、「互聯網+(以下:インターネット+)」という新しい行動計画を掲げ、モバイルやビッグデータ、IoTなどを駆使した経済成長を促進する構えだ。中国のインターネット企業と言えば、アリババ、テンセント、バイドゥが思い浮かぶ。インターネット+戦略を牽引するであろう3社の最新動向を紹介する。

圧倒的シェアのSNSで躍進するテンセント

 テンセント(騰訊、Tencent)は1998年、広東省深圳で起業したSNS運営企業だ。2014年第4四半期の総売上高は209億7800万ドル(約2兆5158億5000万円)で、そのうち、オンラインゲームの売上高が119億6400万ドル(約1兆4348億2000万円)、SNSが51億7300万ドル(約6203億8800万円)、インターネット広告が26億2700万ドル(約3150億5100万円)だった。

 上記の好調な業績を実現できたのは、「QQ」と「微信(WeChat)」という2つのSNSの国内での圧倒的なシェアと、自社メディアの「騰訊新聞(テンセントニュース)」の成功によるところが大きい。

 QQはメッセンジャーアプリケーションだ。携帯電話のショートメッセージよりも安くテキストメッセージをやり取りできるところから人気に火が付き、公開以来、若者から人気を集めている。テキストメッセージ機能に加えて、無料通話やリモートアシスタンス、翻訳などの機能が続々追加されている。また、「Q-Zone」というブログ機能も備え、スーパーメンバーになると、オンラインの音楽/ビデオコンテンツなどをQ-Zoneに追加できるようになる。2014年12月31日の時点で、QQの月間アクティブユーザー数は実に8億1500万に達している。

 微信は、いわば中国版のLINEである。WeChatはそのインターナショナル版で、海外のユーザーが使う。テキストメッセージや無料通話はもちろん、ビデオ通話ができることで、海外にいる中国人が国内の家族とフェースツーフェースでコミュニケーションできるところが人気を博している。

 また、銀行の公式アカウントをフォローすることで、キャッシュカードやクレジットカードの取引が発生するたび、微信側に取引通知が届くようになる。残高/明細照会や、銀行手続に行く前の順番待ちもできる。テンセントは微信のAPIを公開し、さまざまな業界の企業と提携しながら事業を展開している。2014年12月31日の時点で、微信/WeChatの月間アクティブユーザー数は5億に達した。

 このほか、オンライン決済サービスの「財付通(Tenpay)」も提供する。すでに、Alipayに続く、中国の市場シェア2位となっている。

地方政府と連携してスマートカー、セキュリティ事業を発足

 テンセントは2015年3月23日、河南省政府と戦略的協力する契約を結んだことを発表した。微信またはQQを使えば、河南省の住民が、役所に行かずに生活の手続きを済ませることを可能にする環境を整えるという。データの保存および処理は、すべてテンセントのクラウドサービス「騰訊雲(http://www.qcloud.com/)」を利用することになっている。なお、同社は2014年12月から、広州をはじめ深圳、佛山、武漢で生活の手続きのサービスを提供している。

 先端分野でもアリババを追いかける。テンセントは河南省の自動車メーカー、和諧汽車と台湾のEMS(電子機器受託生産)世界最大手のフォックスコン(鴻海科技)と共に、スマートカーの共同研究開発を進めると発表した。

 そのほか、米マイクロソフトとの提携も開始する。両社は2015年3月20日に業務提携を発表した。テンセントは、PC管理ソフトウェア「騰訊電脳管家」を開発し、無料提供している。同製品はウイルス対策機能のほか、マイクロソフトが配布するWindowsやMicrosoft Officeなどのセキュリティパッチを簡単にインストールできる機能も備える。両社の提携により、騰訊電脳管家のダッシュボードからボタン1つで、既存のWindows 7/8をWindows 10にアップグレードすることが可能になるという。

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