最新のモバイルデバイスの活用でワークスタイルを変革しようとしても、かつてのノートPCの時代に定めたセキュリティポリシーなどが壁となって立ちはだかるケースがある。本来は時代に合わせて抜本的に見直すべきだが、それには時間もかかりがち。素早く行動を起こすために、今回は「既存ルール依存症」から脱する策を中心に考えてみる。
前回は、端末モデルとMDM製品の選定について解説した。無事に端末モデルとMDM製品が決定し、モバイルデバイスの導入に向けた第一歩が踏み出せたと思った矢先、次に待ち構えるハードルがセキュリティポリシーに代表される既存ルールである。企業としてモバイル端末を活用する以上は、当然ながらルールに沿った運用が必須となる。しかし、固定の業務PCを前提とした既存のルールには、モバイル活用と相容れないものも多々あるのが実情である。
モバイル活用に向けて、それに相応しいルール作りが必要となるが、筆者らの経験では、ここで「既存ルール依存症」に陥ってしまうケースを数多く目の当たりにしてきた。ルールの変更を早々に諦め、既存ルールの制約内で無理矢理モバイルデバイスを利用しようとするものだ。
例えば、ある企業では、社外に端末を持ちだす際には、端末内データの有無や暗号化の有無に関わらず、事前申請と上長による承認を必須条件としていた。固定の業務PCを利用し、ごく稀に社外持出用PCを利用する程度であれば、十分に機能するルールであり、理解できる内容ではあるが、モバイルデバイスの利用とは真逆の発想である。
ワークスタイル変革を実現することを目的にタブレット端末を選定したものの、この既存ルールが大きなハードルとなってしまった。訪問先に自由に持ち出し、隙間時間や移動時間も含めてタブレット端末で仕事ができるようにするはずであったが、事前申請および持出承認が必要とあれば、その実現は難しいものとなってしまう。
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