前回はモバイルデバイスの利用ルールが論点だった。今回は、それとも密接につながるBYOD(Bring Your Own Device)の採用について解説する。BYOD自体については、読者の方はすでにご存知のことと思うが、従業員が個人で所有・利用しているデバイスを業務用途で利用するものだ。モバイルファースト時代には、このBYODが前提になってくる。
筆者らの経験では、どの企業であっても、エンドユーザーである従業員からBYOD(Bring Your Own Device)を認めてほしいとの要望が強く上がっている。しかしながら、実際にBYODの採用に踏み切れている企業は、日本でも事例が増えてはいるものの、エンドユーザーからの要望の大きさに対してまだ少ないのが実情だ。BYODの普及度合いに関する調査結果は多数あり、それぞれの結果に大きく隔たりがある。筆者らの経験では国内の大手企業では30%程度の企業が公式に認めているにとどまっている。
BYODを認めない主な理由としては、個人デバイスからの情報漏えいリスクが挙げられる。エンドユーザーの要望の強さと実際の普及度合いの差異が、逆に"シャドーIT"と呼ばれる状態を生み出してしまい、リスクを増大させている側面もある。
具体的には、会社支給デバイスの配付が間に合っていない、あるいは、機能をがんじがらめに制限され著しく不便であるが故に、企業メールやドキュメントファイルを私用アドレスに転送してしまっているといった例だ。これらの例は,多くの企業で数多くみられる。
こういった事実は、おそらくは読者の皆様の会社でも確認できることだろう。当然ながらIT部門も把握している。にもかかわらず、なぜ、ことさらに会社支給品に限定し、BYODを認めないのだろうか。
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