モバイル・ファーストはどんな企業にとっても最優先で取り組むべきテーマ。国内を見渡すと重い腰がなかなか上がらない企業が少なくないが、今後の業務クライアントの主役、そしてビジネスモデルを考える時の重要なカギとなるのは、間違いなくスマートデバイスを代表とするモバイル端末だ。今や待ったなし。モバイル・ファーストに大きく舵を切るための方策を本連載を通じて解説していく。
従業員の生産性向上、意思決定のスピードアップ、ワークスタイルの変革…。モバイル・ファーストは、どんな企業にとっても最優先で取り組むべきテーマだ。それも営業担当者が顧客先で社内メールを確認できるとか、出張先でイントラネットを閲覧できるとか、そういったレベルの話ではない。モバイルデバイスこそが企業システムの端末であり、これまでの業務PCでは実現し得ない新しい価値を、最前線で提供するITとなるべきである。
一方でモバイル・ファーストを拒むハードルも間違いなく存在する。もっとも大きいのがセキュリティだが、それだけではない。導入に関わる費用をどう捻出するか(IT費用)、モバイルを使う社員の勤務時間をどう管理するか(労組との交渉)、そもそも会社としてモバイルを導入するべきかどうか(必要性)などもハードルの1つだ。
それを乗り越えたとしても、次のハードルが待ち構える。筆者らのコンルティングや導入サポート経験では、何らかの動機でモバイルを導入することを決めた企業は、以下のような“症例”に陥ることがある。
- 端末モデルやMDM製品をいつまでも選定できない。詳細な機能の比較・検討を繰り返し、そのうちに新モデルの発表やアップデートにより検討をやり直す(最適意思決定依存症)、
- 業務PCを前提とした旧態依然のセキュリティルールをそのまま適用する、また労務ルールを何ら変えることなく調整を最優先する(既存ルール依存症)
- 会社支給端末かBYODか、二元論に陥ってしまう(会社支給品依存症)
- IT部門や総務部門、そのほかの関連部門との間で所管・推進を押し付け合う(部門間調整依存症)
だが、世の中は急激に変わっている。いつまでも「取り組まない理由」を言っている場合ではなく、企業はこれらの依存症から脱却してモバイル・ファーストに舵を切る必要がある。本連載では、そのために必要なことを順次(なるべく短期間で)解説していく。今回は本題に入る前に、米国の実態調査などモバイル・ファーストの必然性を紹介しよう。先刻ご承知のこともあるはずだが、お付き合いいただきたい。
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- 【第3回】「既存ルール依存症」からの脱却〜デスクの引き出しに眠るモバイルデバイスを持ち出そう(2015/05/22)
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