これまで、製品選定、利用ルール、BYOD(Bring Your Own Device)の、それぞれを論点にしてきた。今回は、これらモバイルに関わるテーマを、企業において誰が推進すべきかについて考えてみたい。残念ながら、縄張り争いと押し付け合いが起きやすいのが、モバイルの特徴でもある。モバイル戦略の推進に際しては、部門間調整に向けた処方箋が必要になる。
いわゆるガラケー(フィーチャーフォン)の導入・利用については、多くの企業で総務部門が窓口になっている。これは、携帯キャリアへの申し込みや契約など、事務機器の購入として扱うことに適しているからだ。では、スマートフォンやタブレットではどうだろうか。
企業では、スマートフォンやタブレットは、3G/LTEの回線サービス付のモデルを購入する場合が多い。従って、大半の場合は携帯キャリアから購入することになり、商流としてはフィーチャーフォンと同様である。そのため、現状の役割分担で言えば、総務部門が窓口になるのが自然ではある。
しかし、多機能端末であるスマートフォンやタブレットでは、これまでの事務機器の範ちゅうを大きく超えてしまっている(表1)。筆者らの経験では、この多機能さゆえに、多くの企業で今も微妙な部門間調整が発生している。リーダーシップを取るべき主管部門がはっきりしない中で、モバイル戦略の推進が思うように進まないケースが多数ある。
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