クラウドによってIT基盤の構築は大幅に楽になり、例えばシステム運用の負担は激減する、構築や運用管理に関わるコストも大幅に低減できる…。クラウドの利点が語られる時、こういった類の話は多い。ITインフラやその運用を担う責任者や担当者からすれば、気になるところだろう。極論すればシステム運用は不要になる、そうでなくても業務内容は大幅に変わることを意味するからだ。
実際のところはどうなのか? 米ガートナーでIT運用管理のリサーチを担当するジェフ・ブルックス氏(マネージング・バイスプレジデント)に、それを含めた「デジタルビジネス時代のIT運用管理の最前線」を聞いた。同氏は「ITの役割が変わる中で、ITインフラ構築や運用管理チーム(以下、I&O=Infrastructure&Operations)が変革を迫られているのは事実。しかし運用管理チームが不要になるとか、そういった話ではない。ITを通してビジネスをどう良くするかを考える時、役割はむしろ重く大きくなる」と語る。以下、Q&A形式で同氏の考えをお届けしよう。
ValueOps、BVDとは何か?
──最初にシステムの運用管理技術に関わる技術トレンドを聞きます。下図はブルックスさんが講演で示したハイプサイクルですが、この中で例えば「ValueOps」や「Business Value Dashboard (BVD)」は聞いたことがありません。それぞれ、何を指すのでしょうか?

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ブルックス氏:ガートナーは「Bimodal IT(2つの流儀のIT)」を提唱していますが、知っていますか。
──企業のITには既存の業務プロセスをシステム化するモード1と、存在しないサービスをITで実現するモード2という2つがあるという考え方のことですね。
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