東京ガスグループのIT事業会社であるティージー情報ネットワーク(TGアイネット)は、オラクルが提供するPaaS(Platform as a Service)である「Oracle Cloud Platform」の検証を開始した。グループ共通基盤として導入し、アプリケーション開発期間の短縮を目指す。日本オラクルが2015年6月30日に発表した。
共通基盤として、Oracle Cloud Platformを選んだ理由として上田マネージャーは、「比較検討した結果、一般のIaaS(Infrastructure as a Service)では、ミドルウェア製品を自社で持ち込まなければならないため、予想以上にコストは安くならない」と説明する。加えて「Java Cloud Serviceには開発環境も備わっていることもメリットに感じた」(同)とする。
一方で、現時点のOracle Cloud Platformに対しては、「まだまだ洗練されていない。使い勝手が悪い部分があるのも事実。だが、これは逆に発展途上だとも言える。後発であることから、先駆者が体験した失敗などを繰り返す必要がないといった強みを活かし、セキュリティや日本独自の商習慣などにしっかりと対応した、使いやすいクラウドサービスにしてほしい」(上田マネージャー)との期待を述べた。
SaaS分野は利用部門自らによる利用が進展!?
ちなみに上田マネージャーが登壇したパネルディスカッションには、サッポロビールの営業本部営業戦略部デジタルマーケティング室の工藤光孝室長と、リクルートライフスタイルの企画統括室CS推進部の真島博部長も登壇した。
サッポロビールは2013年10月に、ソーシャルメディアの活用を支援する「Social Cloud」を導入。2015年2月からはマーケティングオートメーションの「Cross-Channel Marketing」も採用している。一方のリクルートライフスタイルは、顧客対応用の「Service Cloud」を利用している。
工藤室長と真島部長は、利用部門の代表で、両者とも「事業ニーズに合わせて必要な機能を直ぐに利用できること」をSaaS(Software as a Service)のメリットに挙げる。特に工藤室長は「システム部門に依頼すると、時間もコストもかかる。ここを短縮するためにクラウドを選択した」とした。
なお日本オラクル自身は、「日本オラクル創業30周年を迎える2016年度は、第2の創業期に位置付け、日本オラクルを新しいものに作り替える」(杉原博茂社長兼CEO)とし、クラウド事業のさらなる拡大を図ると同時に、ハードウェア/ミドルウェアを販売するシステム事業も拡大するという(写真2)。
クラウド事業においては、「POCO(ポコ、The Power of Cloud by Oracle)を掲げ、「ミッションクリティカル用途を含め、システム活用の敷居をクラウドで引き下げる。SaaSからPaaS、IaaSまでを総合的に提供した結果としての料金の安さも訴求する」(杉原社長)考えである。