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「Dockerの利用障壁を取り除く」―レッドハットのPaaS新版「OpenShift Enterprise 3」

2015年7月22日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

レッドハット日本法人は2015年7月22日、企業のプライベートクラウドで稼働するコンテナベースのPaaS(Platform as a Service)ソフトウェアの新版「OpenShift Enterprise 3」を発表し、同日より国内提供を開始した。「Docker」形式のLinuxコンテナ、「Kubernetes」によるコンテナ管理、Red Hat Enterprise Linux 7を統合し、コンテナアプリケーションの開発から稼働、運用管理までのライフサイクルをサポートする。

フェーズごとに用意される障壁除去の仕組み

 上述したKubernetesによる自動制御をはじめ、OpenShift Enterprise 3では、アプリケーションの開発/更新、デプロイ、運用の各フェーズでDockerの利用を支援する仕組みが用意されている。

 開発フェーズでは、57種類のDockerプロジェクトテンプレート、Dockerイメージの自動ビルド機能、ネーティブDocker(開発元の米ドッカーが運営する「DockerHub」で公開されているDockerアプリケーション)のインポート・実行、IDE(統合開発環境)との連携/コマンドラインツール、ユーザー管理/チーム開発支援ツールなどが提供される。また、アプリケーション更新の際には、Dockerイメージのバージョン管理や、イメージ履歴/タグ付け、イメージ内のOSやミドルウェアへのパッチ適用/再ビルド制御などの機能が使える。

 デプロイのフェーズでは、開発→テスト→ステージング→本番という切り替えの自動化、無停止切り替え/ローリングアップデート、デプロイのロールバック、コンテナネットワークの自動設定が可能だ。

 運用フェーズでは、スケジュール起動・停止、スケールアウト/パラメータによる自動スケーリング(3.1で機能追加予定)、DR/異なるデータセンター間でのレプリケーション、稼働監視などの機能が用意されている。

PaaS競争が激化、OpenShiftのアドバンテージは

 OpenShift Enterprise 3は年間サブスプリクションライセンスの購入で利用でき、最小構成で63万9600円からとなっている。同ソフトは、PaaSにカテゴライズされる製品だが、レッドハットは、企業でのDocker利用支援を全面に打ち出したバージョン3からは「PaaSの領域にとどまらない、企業のビジネスインフラを担う製品」(岡下氏)に位置づけてアピールしていくという。上に挙げた諸機能からも、「PaaSだけどPaaSの範疇にとどまらない」という同社のメッセージに誇張はないと言える。

 DevOps/継続的デリバリーやSoEなどのトレンドから、現在、PaaS分野が大きな盛り上がりを見せている。Amazon Web Services(AWS)やGoogle App Engine/Google Cloud Platform、Microsoft Azure Platformなどが先行してしのぎを削る中、OpenShiftの強力なライバルと目されるのが同じくオープンソースの「Cloud Foundry」だ。こちらはピボタルソフトウェアが開発主体となって、IBMやHP、SAP、EMCといった大手システムベンダーがサポートを表明するなどしてエコシステムを広げている。

 こうした競合のPaaSに対するOpenShiftのアドバンテージは何か。この問いに対し、岡下氏は、Dockerをスキル・ノウハウが不足する企業でも活用できるようにする数々の仕組みにつきると強調した。「OpenShiftはPaaSの中で後発なので、メッセージの発信が足りないという指摘もあったが、今回のバージョンで明確に打ち出せたと思う。一度構築したDockerアプリケーションがどこでも動き、ロックインの心配がない。OpenShift Enterprise 3の提供を通じて、Dockerをいかに企業に浸透させていくかに注力していく」(同氏)

関連キーワード

Red Hat / PaaS / Docker / OpenShift

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