第3回では、原価計算の基礎となる「原価費目」について解説した。それに続く今回は、原価計算の種類と、主に実際原価計算の計算手法について解説していく。原価管理システムをブラックボックスにしないために、自社の原価がどのようなプロセスとロジックで算出されているのか、原価管理担当や経理部門の方だけでなく、営業部門や購買部門・製造部門など各業務部門の方も、ぜひ押さえていただきたい。
原価計算の種類 ~標準原価計算と実際原価計算~
まず、原価計算の方法として、大きく分けると「標準原価計算」と「実際原価計算」の2つの方式がある。
標準原価計算とは、あらかじめ設定した製品1個あたりの標準原価と生産実績数を掛け合わせることで製造原価を算出するものである。実際の原価と差額が生じるが、期末に「原価差異」として売上原価と期末在庫に按分することで、実際原価に補正する方法である。
これに対して実際原価計算は、月末(月締め後の翌月初)に各種実績値(当月の生産実績や作業時間実績、購入実績、労務費、経費など)を集計し、実績値をもとに製造原価を算出するものである。
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標準原価計算のメリットは標準値を使用することによる速報性だが、標準値の精度が低いと、期末に多額の原価差異が発生するなど信頼性が低くなるデメリットがある。一方、実際原価計算のメリットは実績値を使用することによる精度の高さだが、その一方で計算処理が複雑なため、速報性が低くなるデメリットがある。ただし近年は、パッケージソフトの普及により実際原価計算であっても短時間で算出できるようになってきており、ハードルといっても実績データを取得するぐらいになってきている。
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