近年、大手・中堅企業の製造業を中心に、原価管理システム、あるいは原価管理の強化を目的とした基幹システム再構築のプロジェクトが急増している。なぜ今、原価管理のニーズが高まっているのだろうか。第1回となる今回は、原価管理の必要性について考える。
最近、「原価管理に関心がある」と相談を受ける機会が増えた。経営企画部門や財務部門から関連する話題を持ち掛けられた読者もいるだろう。一方で、原価管理に詳しい人物は、企業の中でもごく一部。この記事にたどり着いた読者の多くは、「原価管理とは何だろうか?」という疑問を持っておられるはずだ。
結論から言うと、原価管理とは文字通り原価を管理することだ。そもそも、原価管理でいうところの「原価」とは製品を製造するためにかかった金額だ。製品を製造するために要した原材料や設備、人、諸経費などを金額に換算して求める。この原価を自分たちの意図に沿うよう、能動的にコントロールする取り組みが原価管理である。
具体的には、3つのアクションがある。1つめは「原価企画」。製品を企画する際、製造に投じて良い原価を設定することを言う。2つめは「原価維持」だ。目標原価の範囲で製品を製造するために、生産や調達を工夫することを指す。3つめは「原価改善」。目標よりも安く抑える取り組みをこう呼ぶ。
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例えば、100円の製品を製造・販売するとしよう。1個当たり20円の利益を確保したいなら原価は80円に抑える必要がある。つまり、目標原価は80円だ。製造を始めたところ、原価は90円掛かることが判明した。この時、原価を10円分削って80円に収めるのが原価維持だ。80円の原価を70円まで圧縮しようとするなら原価改善と言える。
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