日本ITCソリューションが香港で臨む大型案件「港鉄」。競合相手、北京鳳凰が「安値攻勢」が本当かどうかを探るため、課長の佐々木ら4人は、北京鳳凰のトップ、蘇総経理との面談にまでこぎ着けた。佐々木がアメリカの政治経済の話から、日本における海外ビジネス展開における人材不足をたことで、蘇総経理の関心を引くことに成功。打ち解けてきた昼食の席で、日本ITCソリューションのパートナーである三井商事の筒井が、安値攻勢の件を単刀直入に切り出した。
「厚かましいとは思いましたが、『港鉄』の入札について、どのように考えておられるのかをお聞きしたいと思い参りました」
蘇総経理は、筒井の問いかけに全く驚くこともなく、安値攻勢を否定した。
「そうでしたか。私はアメリカが長かったので、そうした中国的な発想は持っていませんのでご安心ください。私共の入札は公正に行います。北京鳳凰は私が北京に戻ってからの5年間に売り上げを3倍に伸ばしました。今年度の売り上げは3億米ドル(約360億円)を見込んでいますが、来年度はさらに5割アップを考えています。
ここ中関村には今、当社のような企業がたくさんあります。中国のITビジネスは、この10年間で急成長してきました(図1)。特に、この5年間は、アメリカに留学したり仕事をしたりしていた中国人が、かなり戻ってきています。
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