[インタビュー]
再生水プロジェクトで世界有数のデータセンター集積地に―バージニア州ラウドン郡の実践
2016年5月18日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)
米バージニア州北部、ワシントンDC郊外に位置するラウドン郡(Loudoun County)。自然豊かなこの地帯に、驚くほどの数のデータセンターが集積している。要因は3つ。1つは高速なネットワーク接続環境、もう1つは安価な電力、そして3つ目にして決定的な要因となったのが、同郡が推進した再生水プロジェクトだ。ICT分野での長年の経験と知見をプロジェクトに注いだ、米ジョージ・ワシントン大学 工学・応用科学スクール 教授講師のジョン・E・ビショフ博士(John Bischoff D.Sc.)に、画期的な「データセンター街おこし」の軌跡を聞いた。
――日本でも、いくつかの自治体が地方型データセンターのメリットをアピールした誘致活動を行っています。ラウドン郡の実践は、ベストプラクティスの1つとして参考になりそうです。
ラウドン郡に進出する企業や事業者が不動産税を支払うことで郡が潤う。説明したように、企業も他の場所より大幅なコスト削減をはたしながらデータセンターを運営できる。電力会社も、水道局も確かな収益を上げることが可能だ。
環境保全を目的とした行政プロジェクトから出発したが、行政の言うままに動いたのではなく、すべての関係者が自らの利益のために動いたことでうまくいった。もちろん、本来の環境保全寄与も大きい。ポトマック川に下水を流さずに済むようになったのと同時に、データセンターが飲用レベルの上水を大量に使わずに済んでいる。
また、データセンターの場合、施設に勤務するスタッフの数が普通のオフィスよりも少ないこともよい結果を生んだ。高速道路の整備や学校など公共施設の増設の要が少なく、郡としてはそこに巨額を投じなくて済んだので、黒字がずっと続くという構造もある。データセンター集積による街おこしという、地方創生の1つの理想形を示せていると思う。
写真3:ビショフ博士は「データセンター集積による街おこしという、地方創生の1つの理想形を示せていると思う」と語るジョン・E・ビショフ博士(John E. Bischoff D.Sc.)
複数のIT企業を経てIBMに入社し27年間勤務。データセンター管理の責任者やワトソン研究所のコンピュータサイエンス部門シニアマネジャーを務める。その後、AOLの財務・業務担当副社長に就任しサービスとソフトウェアの開発にまつわる予算策定・管理を統括。AOL退社、ジョージ・ワシントン大学の理学博士号(工学管理)を取得し、同校の教授講師(工学管理)。ラウドン郡財政影響/夜間経済委員会メンバーやシーウルフ・ベンチャーファンドのボードメンバー等、多数の職務を兼任。
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