米HPと同社日本法人は2016年5月19日、業務用3Dプリンティングシステム「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」を発表した。プロトタイプの製作や製造工程の変革を支援する。米ナイキや独BMWなどと共に開発した。
「HP Jet Fusion 3Dプリンティングソリューション」は、HPが新たに開発した3Dプリンタと各種のソフトウェアから構成される。同社が創設メンバーとして標準化した3Dプリンティングのためのファイル形式「3MF」に初めて完全準拠した。
新しい3Dプリンタでは、3Dプリンティングの単位である「ボクセル」ごとに必要な特性を持たせたパーツをモデリングできる。将来的には、対応する素材の拡充やカラー化により、ボクセル単位で特性を変更し、それらを組み合わせた成果物を製作できるようになる。例えば、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)用途では、センサーなどをパーツに組み込んでプリント。サプライチェーン向けでは、パーツの内側に追跡用のトレースコードなどを組み込めるとしている。
1点の線から積層するモデリング方法と異なり、1秒間で3億4000万以上のボクセルを造型できる能力を持つ。従来製品と比べ、最大10倍の速度で印刷し、コストは半減するとしている。設計から試作、製造の工程において、品質がより高いパーツを高速かつ低コストで生産できるという。
今回発表した3Dプリンタは2機種。ラピッドプロトタイピングに適した「HP Jet Fusion 3D 3200 Printer」と、ダイレクトマニュファクチャリングに対応する「同4200 Printer」である。3200 Printerでは、生産性とモデリングサイズを高めることで、成果物のコストを下げながら適用範囲を広げた。4200Printerでも成果物のコストと下げるともに、最終製品の生産性向上を図っている。成果物の冷却時間を短縮する「HP Jet Fusion 3D Processing Station with Fast Cooling」も用意する。
3Dプリンタなどの研究開発においては、ユーザー企業大手を含む3Dプリンティングに関連する主要ベンダーなどと共同で取り組んだ。共同開発パートナー、戦略パートナーからとしてアドバイスを受けた。具体的には、米ナイキや独BMW、米Jabil、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、ベルギーのMaterialise、米Protolabs、米Shapeways、独シーメンスなどだ。
今後は、パートナー各社と共同で、各業界に適応するための種々の素材やソフトウェアの品揃えをはかる。3D素材では、仏ArkemaやBASF、Evonik、Lehmann & Vossといったドイツ企業などが認定パートナーになっている。ソフトウェアパートナーには、AutodeskやMaterialise、シーメンスが含まれる。
HP Jet Fusion 3D 3200の米国での価格は13万ドルから。日本では3200/4200とも2017年後半から提供する予定。価格は米国価格とは異なってくる。
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