重厚長大な製造業から、IoT(Internet of Things)を牽引するハイテク企業へと転身を遂げているGE(General Electric)。そのハイテク企業GEが掲げるインダストリアル・インターネット(産業インターネット)のコアとなるのがIoTプラットフォーム「Predix」だ。日本でのサービスも開始され、大手ITベンダー各社との競争の中、特に産業分野で強みを発揮するPredixだが、まだ公開された2015年から1年足らずのため導入事例は限られている。製造業大手の米ピツニーボウズは、Predixのアーリーアダプターとして世界中の製造業から注目されている企業だ。同社でPredix導入を牽引したCOOのGrant Miller氏が、Predix導入の顛末を語った。
ピツニーボウズの概要

ピツニーボウズは、郵便作業向け機器や封入封かん機、業務用印刷機などのハードウェアベンダー。加えて、顧客管理や位置情報システムなどのソフトウェアも提供するeコマースベンダーとしてグローバルに展開している。サービスの運用体制はグローバルで約3千人のフィールド技術者が300万件以上のサービス要望に対応している。ハードウェアの50%、ソフトウェアの90%が遠隔対応となっている。
エンタープライズ向けのビジネス戦略として掲げているのが、サービスモデルの革新、コアであるハードウェア製品の競争力強化、新たな収入をもたらす新規ソリューションの開発という3点だ。
Predix導入の経緯
主力の郵便、発送用のマシンは世界で数千台が稼働しており、センサーなどにより稼働状況を知らせるデータを収集する仕組みは導入済だった。しかし、その仕組みは工場内で完結したもので、マシンデータは工場内のサーバーに収集され、工場に設置されたマシンの改善のみに活用されていた。
生産性高めるための新ツールを検討
ユーザーからは、更に生産性を改善しながらコストを削減したいという要望があり、現在以上に生産性を高めるためには追加のツールが必要と考え、検討することにした。そこでIBMやCiscoなど、ビッグデータやIoTに関するソリューションを持っている企業に声を掛けた。その中にGEのPredixがあった。
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