[ユーザー事例]

ミサワホームがAI装備のERP「HUE」を導入する理由とは?

2017年3月2日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

2017年、CIOやIT責任者にとって最大のテーマの1つがAI(人工知能)だろう。顧客対応を自動化したり、IoTと組み合わせて機器を自動制御したり、あるいはビッグデータからインテリジェンスを抽出したり、様々な活用が見込まれる。中でも実用性や緊急性の面で期待されるのがオフィス業務のサポートだ。RPA(Robotic Process Automation)もあるが、ここではワークスアプリケーションズが開発・販売するAI装備のERP「HUE」にスポットを当てる。

 朝日放送(人事)、近畿大学(人事給与と会計)、商船三井(人事)、スーパーマーケットの成城石井(会計)、自動車部品メーカーのミツバ(人事)──。ワークスアプリケーションズ(ワークスAP)が開発・販売する業務パッケージ「HUE」を導入する企業が順調に増えている。企業や大学、製造業に流通業など業種や規模も多彩だ。

 HUEはNoSQL DBやAI(人工知能)を採用し、紙文書の電子化や入力のレコメンデーション、誤りチェックなど業務の効率化に直結する機能を提供する。この点で導入企業が増えるのは当然に思えるが、一方でIT投資における人事や会計といったバックオフィス系の優先度は高いとは言えないし、RDBを使っている既存システムからHUEへの移行にはリスクもある。使い勝手が変わることへの利用者の抵抗もあり得るだろう。

 これらの問題をHUEの採用を決めた各社はどう考えたのか。あるいはHUEの何を評価したのか。このほど「HUE」採用を決めたミサワホームの宮本眞一 企画管理本部情報システム部長(兼構造改革プロジェクト担当)に聞いてみた。結論から言えば、同社の場合は「確実に投資効果が見込める」「ITでできることはITに任せて社員は本来業務に専念できるようにする」の2点である。

 まずミサワホームの既存システムである。同社はハウスメーカーであるミサワホーム本社と、住宅販売・施工や生産・物流などを担うグループ企業41社からなる。本社は2002年からワークスAPの人事管理システム「COMPANY」のユーザーだったが、グループ企業の人事システムは個別に存在していた。そこで業務効率を高め人材情報管理を高度化するべく、2011年から順次、シェアードサービスに切り替えた。

 具体的には中国・蘇州の企業に関連業務をBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)し、本社(約2000人)に加えてグループ40社あまりの合計1万人強が、COMPANYを共同利用する形態だ。2014年10月に導入を完了している。これに先立ってワークスAPが提供するサービスを利用して、クラウドのAWS(Amazon Web Services)上にCOMPANYを移行している。

 本題に戻ろう。宮本氏がHUEの概要を聞いたのは3年ほど前だったという。「当初はNoSQLの分散DBなどの技術に引かれた。しかし冷静に考えるとバックオィスの管理業務に導入して、どんな効果があるかに考えが向いた」。奏功したのが人事業務のコスト構造が明確になっていたこと。BPOの際に委託内容も文書化し、どんな業務をどの程度こなすかを明らかにしていたのだ。

 「人事業務で多いのは文書入力。例えば履歴書1つとっても電子化するために入力している。各種の届け出はCOMPANYで電子化を進めているが、まだ多くの紙が残っている。そのチェックや修正業務も山のようにある(図)。それらが定量的に見えていたので、HUEによる紙文書の認識や書式のチェックを導入すれば、現在のシェアードサービスに比べて最低でも50%のコスト削減が明らかだった」

図:HUEによって見込める効果(ワークスアプリケーションズの資料)
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