自動車部品メーカーの三桜工業(本社:茨城県古河市)は、製造業向けのAIエージェントを開発した。設計リスク抽出業務の一部において、工数の95%削減を実証した。AIエージェントを共同開発した東京大学松尾研究室発スタートアップのSpark+が2025年8月7日に発表した。
三桜工業は、茨城県古河市に本社を置き、ブレーキチューブなど自動車部品の開発・製造を行うメーカーである。今回、設計レビュープロセスのDRBFM(故障モードに基づく設計レビュー、注1)をAIエージェントで自動化するPoC(概念実証)に取り組んだ。
注1:DRBFM(Design Review Based on Failure Mode:故障モードに基づく設計レビュー)は、トヨタ自動車が開発した設計レビューの手法。製品開発における変更点や変化点に着目し、潜在的な問題を未然に防ぐことを目的としている。変更点や変化点を洗い出し、それらが引き起こす可能性のある故障モードを予測して対策を検討することで、製品の品質向上を図る。

AIエージェントを、東京大学松尾研究室発スタートアップのSpark+と共同で開発した。過去の非構造化データを参照し、設計リスクを抽出して提示する。PoCの結果、これまでDRBFMの一部フローにかかっていた数十時間を95%短縮することに成功している(図1)。
三桜工業は別の取り組みとして、全社向けデータ分析/活用AIエージェントの開発にも取り組む。RAG(検索拡張生成)構成により、Excelなどで蓄積した構造化データと図表を含む非構造化データを、生成AIを介して取得・参照・検索し洞察を得る。
これまでの検証で、間接部門における資料作成工数が課題であることが判明。生成AIを適用することで、業務の効率を上げると共に意思決定に生かしていく。