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[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

IT部門に在籍することの価値を考える

東京ガス IT活用推進部長 沢田和昌氏

2017年4月13日(木)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、東京ガスの沢田和昌氏のオピニオンです。

 東京ガスに入社して、今年で30年になります。30年間の仕事の内訳は、事業部門でガスやガス機器の販売に資する仕事に10年、情報システム子会社で外販システムの営業、開発に10年従事し、そして残り10年はIT部門に在籍し、東京ガス社内のシステム開発、維持管理、運用等に関連する仕事をしてきました。

 こういった経験から、IT部門が会社全体でどういったポジションなのか、どんなことが期待されているのかが肌感覚で理解できます。ずっとIT部門で仕事をしてきた方よりも、事業部門に在籍したからこそIT部門に在籍する価値を理解できているはずと思う次第です。ユーザー企業のIT部門に在籍することはネガティブにとらえられることもありますが、筆者はそうは思いません。事業部門では得にくい価値を列挙してみましょう。

 まずは論理的思考能力が身につきます。仕事をモデル化し、あいまいな点をクリアにしなければシステムは作れませんから当然です。モノ、コトの本質を捉え、問題点・課題を明確にするスキルはどんな仕事にも役立ちます。当社だけではないと思いますが、IT部門から事業部門へ異動すると、論理的思考力が買われ、いつのまにか事業部門のスタッフに染み込んでしまうということが多々あります。

 プロジェクト運営の能力を高めてくれることもIT部門の価値です。IT部門に在籍すると大小さまざまなITプロジェクトに頻繁に携わります。システム開発以外の、どんな仕事にも完了期限があり、担保しないといけない品質と、そこにかけられるコストという考えも必須です。IT部門ではQCD(品質、費用、納期)は当たり前ですが、事業部門にいると案外、その考えが欠如することがあります。QCDの考えを習慣化できる価値がIT部門にはあります。在籍するだけで、これだけのビジネススキルを身につけられる部門は、ほかにはないのではないでしょうか?

 そしてIT部門にいることの価値の中でも最も大きいのは何かというと、世の中の最先端の動きを知ることができることです。欧米の先進企業でのIT活用事例のみならず、IT部門は他の企業との横のつながりが強く、業界を超えた知の共有が図れるのです。たとえ本業では競合関係にあってもITに関しては情報交換ができる。人的交流も活発で、幅広い識見が得られる。それは自らの仕事に大いに役立つでしょう。

 ただしこの点は先の2つのことと違って、IT部門に在籍するだけで得られる価値ではありません。よほど上司や先輩に恵まれない限り、自分で行動することが大切です。しかし、それさえできれば非常に大きな可能性ややりがい、醍醐味が広がっています。会社の中では事業を支える縁の下的な役割のIT部門ですが、IT部門に在籍することで企業人としての様々なパワーを得られます。同時に世の中の最先端の動きを知れば、IT部門が事業を変革し、拡大する部門であることも分かります。IT部門に在籍することの価値を改めて感じていただければ幸いです。

東京ガス
IT活用推進部長
沢田和昌氏

※CIO賢人倶楽部が2017年4月1日に掲載した内容を転載しています。

CIO賢人倶楽部について

大手企業のCIOが参加するコミュニティ。IT投資の考え方やCEOを初めとするステークホルダーとのコミュニケーションのあり方、情報システム戦略、ITスタッフの育成、ベンダーリレーションなどを本音ベースで議論している。
経営コンサルティング会社のKPMGコンサルティングが運営・事務局を務める。一部上場企業を中心とした300社以上の顧客を擁する同社は、グローバル経営管理、コストマネジメント、成長戦略、業務改革、ITマネジメントなど600件以上のプロジェクト実績を有している。

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