[インタビュー]
「エクイニクスが世界中のDCとデジタルビジネスの架け橋を担う」―スミスCEO
2017年5月8日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)
23万超のInternet Exchange Point(IX:相互接続点)、パートナー運営も含めて175以上のデータセンターを擁する米エクイニクス(Equinix)。世界中のデータセンター/ネットワークの“つなぎ手”にしてトップクラスのサービス事業者でもある同社は、デジタル変革期のメガトレンドをどのようにとらえて、施設やサービスの強化拡充に反映させているのか。来日した社長兼CEOのスティーブ M.スミス(Stephen M. Smith)氏に聞いた。
グローバルクラウドネットワーク接続の担い手
――業容が拡大した現在のエクイニクスを、何を手がける会社と形容したらよいでしょう。
シンプルに言えば、インターコネクションカンパニーだ。企業とデータセンター、企業とクラウドネットワークの接続をグローバルで担う企業ととらえてもらえればよいだろう。
最新のミッションは、デジタル変革(Digital Transformation)に挑戦しようとするあらゆる企業・組織の支援ということになる。クラウドであれコロケーションであれ、コンピュート、ストレージ、ネットワークの各リソースをセキュアに届け続けることで、各社のデジタル変革を根底から支えることのできる企業でありたい。
経営上の差別化ポイントの1つに、クラウドサービスを自ら提供するのではなく、パートナー各社にそれぞれの分野での強みを持ち寄ってもらうマーケットプレイスの仕組みがある。各社がデジタルイノベーションを起こすためのステージを当社が提供するわけだ。パートナーは、各々のビジネスに必要な分のコンピュート、ストレージ、ネットワークを強固なセキュリティの下で調達し利用できる。
クルマ、電話、冷蔵庫。ご存じのようにIoT(Internet of Things)の進展で、多様なモノが多様なかたちでシームレスにつながり始めている。このトレンドを我々のデータセンターで支えていくことも、今の我々の大きなテーマとなっている。
――近年は、「Platform Equinix」を掲げてデータセンター事業を拡大させています。International Business Exchange(IBX)データセンターは、どんな価値を企業や社会に提供しようとしているのですか。
最新のファクトを示そう。米ベライゾンコミュニケーションズ(Verizon Communications)の買収が5月に完了すると当社運営のデータセンター数は80に達する。パートナー運営を合わせると22カ国・44都市で175を超えるデータセンターが稼働している(図1)。
――日本では都心型データセンターで知られるビットアイルが加わり、国内のデータセンターも大きく拡充されました。
東京10カ所、大阪2カ所、12のデータセンターを構える。日本法人の顧客1000社弱からの売上げは、当社の中で米国、英国、ドイツに続いて4番目の市場規模に相当する。上位3国と同様、近い将来、国内ナンバー1のデータセンター事業者になることを期待している。
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クラウドがここまで広範な普及を遂げた。次の10年では、より多数の企業がクラウド活用を推し進めていくことになる。デジタル時代、エクイニクスはあらゆる業種の企業にとって信頼できるアクセスポイントとしてあり続けたい。エンタープライズと、大手クラウド/ネットワークプロバイダーなどの事業者の両方に対してだ。
そして、我々がこれから顧客に促そうとしているのは、ITインフラへの投資の変革だ。この領域は長らく、オンプレミス(自社運用)が8割、ITアウトソーシング/マネージドサービス、コロケーションなどのオフプレミスが2割という比率で来た。だが先々、この比率は逆転するだろうと言われている。特に、ITアウトソーシング/マネージドサービスやコロケーションはマルチクラウドやハイブリッドクラウドの1形態となって、これまでよりも存在感を増していく流れを見ている。
●Next:デジタルトランスフォーメーションでのエクイニクスの役割は?
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