保証書のクラウド管理アプリを提供するWarrantee(ワランティ)は、保険サービスの新たな形態となるオンデマンド型保険の提供に乗り出した。2017年7月3日に行われた新サービス発表会では、東京海上日動火災保険など4社と共同で提供される「Warrantee Now」の詳細が明らかになった。掛け金10円台から加入できる新時代の保険とは―。
ワランティが提供するスマートフォンアプリ「Warrantee」は、紛失しやすい個人の保証書情報をクラウド上で管理するアプリ。自動車の車検証から不動産登記、家電製品の保証書まで、個人の様々な保証書類をクラウド上で管理し、スマートフォンで確認できる国内初のアプリだ。
オンデマンド保険とは
このワランティが新たなサービスとして開始するのが、「必要なものを必要なだけ消費したい」というオンデマンドのサービス形態を保険に適用した「Warrantee Now」だ。東京海上日動火災保険との提携で開発したこのサービス、主に家電製品の、任意の期間の修理代をカバーするものだ。例えば、「海外に1週間行くので、その間だけ保険に入りたい」といったニーズに応えられる。
通常家電製品の場合、メーカー保証や購入した店舗の保証サービスが付く。一般的なメーカー保証は自然故障のみが対象で、紛失・盗難や水漏れなどは自腹になる場合が多い。保証期間は購入後1年など期間限定のものがほとんどで、期間が過ぎてからは有料サービスとなることが多い。購入時に付けた保証の期間が切れたあとは、大抵が実費で対応することになる。
Warrantee Nowは、購入時期に係わらず、家電製品・デジタル機器の保険に、任意の期間入ることができるサービスだ。自然故障だけでなく破損や汚損、水漏れ、紛失・盗難までが対象で、メーカー保証期間内はもちろんのこと、例えば自然故障であればデジタル家電は発売後3年、生活家電であれば発売後5年まで対象となる。破損・汚損や水漏れであれば発売後10年までの製品が対象となる。
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保険料は、生活家電は1日19円から、デジタル家電の場合は39円から。例えば、旅行に出る1週間の間だけデジタルカメラに保険を掛けたければ保険料は273円。3日間のイベントにノートPCを持ちだすなら117円ですむ。申し込みは、スマートフォン上で製品の写真を添付して製品登録するだけ。
65万件の商品マスター保持
というのもWarranteeはこれまで行ってきたサービスで、家電・住宅設備分野の約65万件の商品マスターを持っている。商品マスターの保有項目はJANコード、型番、製品名、メーカー名、ジャンル、画像、発売日、価格情報など。これがベースにあるので、製品登録サイトから簡単に登録できる。
今回のサービスは、東京海上日動火災の協力で開発されたものだが、これをプラットフォームとして三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険からも提供されることになった。さらに、三井物産インシュアランスが保険代理店として販売する。
保険会社のx-Techは、FinTechとは別にInsurTechと呼ばれている。日本ではあまり馴染みのないTechだが、グローバルでは米国を中心に数多くのInsurtech企業が登場している。多いのは医療保険のスタートアップで、グローバルでも損害保険のInsurtech企業は多くないようだ。
サービスリリースは2017年8月中を予定しており、対象品目の拡大や新機能の追加などを重ねていき、1年で10万人、2020年には100万の保険加入者確保を目指している。損害保険会社にとっても従来のモデルよりも保険料が極端に安くビジネスモデル的にチャレンジングな取り組みとなっているが、将来を見据えてInsurtechの成功事例としていきたい考えのようだ。