[インタビュー]

「Oracle DBの費用はサーバーとストレージで抑制できる」─Dell EMCのOracleエンジニア

2017年8月1日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

「サーバーのCPU使用率を高めればOracle Databaseのライセンス費用を節約できる。サーバー仮想化によるデータベース統合や、高性能なストレージを組み合わせることが有効だ」――。米Dell TechnologiesのDell EMC部門でOracle Databaseの専門エンジニアを務めるBart Sjerps氏とPrem(Trichy)Premkumar氏は、Oracle DatabaseのTCO(総所有コスト)を下げる方法を説いた。

写真1●米Dell TechnologiesのDell EMC部門で、Oracle, BI & DWH Solutions - EMEAのPrincipal Software Engineerを務めるBart Sjerps氏写真1●米Dell TechnologiesのDell EMC部門で、Oracle, BI & DWH Solutions - EMEAのPrincipal Software Engineerを務めるBart Sjerps氏
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 Bart Sjerps氏は、Oracle Databaseに代表されるデータベース管理システム(DBMS)を有効に運用するために必要な、サーバーやストレージなどのインフラ設備に求められる要件を、いくつか指摘。これらの要件を満たすサーバーとストレージをDell EMCは提供できている、とアピールする。

 サーバーについては、データベースを統合して使うことが大切という。ストレージについては、開発用やテスト用にボタン1つでデータベースのコピーを作成するスナップショット機能や、データセンター間をまたがるバックアップ機能などが重要になる。

 また、短期にデータベースを立ち上げるために有効な手立てとして、ソフトウェアやハードウェアの組み合わせを検証済みとしたリファレンスアーキテクチャの有効性を説く。さらに、必要な要素をあらかじめ組み上げてアプライアンスとして提供する垂直統合システムを選ぶことも有効である。

CPU使用率を高めてOracleライセンスを下げよ

 Oracle Databaseのライセンスをミッドレンジクラスの用途で試算すると、ハードウェアが5万ドル、ソフトウェアライセンスが5割引で91万3000ドル、保守サポートが5年間で約100万ドル(ライセンスの購入費の22%が1年間の保守費用)となる。

 Oracleのコストを下げる方法は、サーバーのCPU使用率を上げること。多くのユーザーはCPUを10%しか使っていないとBart氏は指摘する。Oracle Databaseのライセンスには複数のタイプがあるが、ほとんどのユーザーは物理CPUコアごとのライセンスを選んでいる。

 施策としてはまず、最新のCPUを搭載したサーバーに買い替える。次に、VMware vSphereなどのサーバー仮想化ソフトを用いて、データベースを統合する。複数のデータベースを1台の物理サーバーに載せることによって、CPU使用率を高められる。

 さらに、使っていないオプションライセンスを見直す。例えば、Oracle Databaseが提供しているデータベース圧縮機能の使用を止めて、ストレージが備える圧縮機能で代替する。また、高可用性/負荷分散クラスタリング機能であるOracle RACの使用を止め、他のソフトウェアなどで代替する。

 最後に、外部のコンサルタントを使う。ライセンスの利用方法に違反がないかどうか、米Oracleとの間で交渉の余地があるのか、保守サポート費用で改善する余地があるのか、使っていないライセンスを転用できるか、などを相談する。

オールフラッシュでストレージI/Oを改善、Oracleライセンスにも寄与

 データベースの性能に影響を与える要素の1つがストレージである。Bart氏が挙げたユーザーは、ストレージI/Oがデータベースの待ち時間の90%以上を占めていた。ストレージをハードディスクからオールフラッシュのXtremIOに置き換えたところ、ストレージI/Oの待ち時間が減った。これと同時にデータベース統合も図った結果、CPUの使用率は60%以上へと向上した。

 XtremIOでストレージI/O性能を高めれば、Oracle Databaseの性能や費用を改善できる、とBart氏はアピールする。XtremIOは、オールSSD(Solid State Drive)構成のスケールアウト型ブロックストレージであり、レイテンシ(遅延時間)を一定に保つなど性能の高さに注力している。

 データベース環境から見たXtremIOのメリットの1つは、ボリューム容量を仮想化するシンプロビジョニング機能である。実際に使っているよりも大きなサイズのボリュームを運用できるので、データベースの容量拡大に合わせてあらかじめ余剰スペースを用意しておく必要がなくなる。

 インライン重複排除も役に立つ。データベース領域については重複排除の効果は少ないが、スナップショット機能によってデータベースのコピーを多数作る場合は重複排除がよく効く。スナップショットは書き込み可能だが、データを変更しない限り、スペースを消費しない。

 インライン圧縮も効く。Oracle Databaseがオプションで提供している圧縮機能を使うと、圧縮機能に対してライセンスが余計にかかるほか、圧縮処理によってCPU負荷がかかってしまい、Oracle DatabaseのCPUライセンスに無駄が生じかねない。圧縮機能をストレージ側で提供すれば解決する。

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