NTTとKDDI総合研究所、住友電気工業、フジクラ、古河電気工業、NEC、千葉工業大学は2017年8月8日、現在の光ファイバーと同じ細さで1本に4個の光の通り道(コア)を持つマルチコア光ファイバーを用いて、毎秒100テラビットを超える毎秒118.5テラビットの伝送を実現したと発表した。2020年代前半の実用化を目指す。
新たに作成したマルチコア光ファイバーの特徴は、ガラス直径と被覆直径を、現在の光ファイバーの国際規格に準拠する125マイクロメートルと235~265マイクロメートルとして、光ファイバー1本あたりの製造性を維持したこと。この上で、1つ1つのコアが単一コアの光ファイバーと同等の伝送品質を持つマルチコア光ファイバーを作成した。
マルチコア光ファイバーでは、隣り合うコア間の光信号の干渉を十分に低減する必要がある。NTTとKDDI総合研究所は、125マイクロメートルのガラス直径で4~5個のコアを配列できることを明らかにした。この設計の下、住友電工、フジクラ、古河電工の3社がそれぞれ、長さ100km以上のマルチコア光ファイバーを作製した。
作製したマルチコア光ファイバーを20~40kmのピースに分割し、意図的に製造元が異なるマルチコア光ファイバーを相互接続し、長さが104~107kmの3つの伝送区間を構築した。この結果、汎用の単一コアの光ファイバーと比べて遜色のない低損失なマルチコア伝送路を実現できた。
さらに、3つの伝送区間をつなげて316kmのマルチコア伝送路を構築。各々の伝送区間の終端に、NEC、KDDI総合研究所、NTT、古河電工が作製した3台のマルチコア光増幅器を接続し、各区間の光の減衰を補償した。伝送実験の結果、標準外径の光ファイバーを用いた伝送実験では世界最大となる毎秒118.5テラビットの伝送容量を達成した。
なお、汎用の単一コアの光ファイバーの伝送容量は、毎秒1~10テラビットという。