人事部門の生産性向上こそ"働き方改革"の第一歩…そう語るのは、人事コンサルティング会社であるオデッセイの秋葉尊社長だ。同社は2017年3月にRPAソリューション「HRRobo For SAP HCM」の提供を開始、主に人事部門向けにRPA導入を進めている。人事部門にRPAを導入して生産性を向上させることがなぜ働き方改革の第一歩となるのか、秋葉氏にその真意を聞いた。
「働かせすぎ」がないソフトウェアロボット
ご存知の方も多いかと思うが、ホワイトカラーの定型業務を自動化するRPA(Robotics Process Automation)は、IT界隈で今もっともホットなキーワードのひとつだ。労働人口の減少が進む日本において、切実なニーズがある。ITベンダーに聞くと、サービス名に「RPA」を掲げると問い合わせが殺到し、セミナーを開催すれば即満員の盛況ぶりだそうだ。
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RPAは、人がパソコンを使って行っている事務処理を正確かつ高速に代行し、生産性向上に寄与する。加えて「働かせすぎ」を指摘されることもない。いくら長時間労働をさせても労働基準法に触れることはなく、ブラック企業に認定される恐れがないという使い勝手の良さも支持を得ている要因だ。
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一方、政府が推進する「働き方改革」とRPAの親和性の高さも見逃せない。日々の業務の中で、定型業務に費やしている時間を圧縮して、本来の業務に集中できるようにする。新規採用が難しくなる中、ビジネスの拡大に伴う仕事量の増加に、従業員を増やさずに対応する。これらを実現するのもRPAの仕事だ。
ホワイトカラーの定番で、定型業務が多い人事部がRPAの対象職種に含まれるのは当然のこととして、なぜ「人事部門にRPAを導入することこそ"働き方改革"の第一歩」となるのだろうか。
オデッセイの秋葉氏の考えによると、政府が掲げる働き方改革、実際に企業がどのような方法で働き方を改革するかまでは示されていない。具体策を考えるのは、各企業に委ねられているのだが、その考える役目を仰せつかるのが、多くの場合人事部門となる。すると、人事部門には働き方改革の方策を考え推進するという仕事が増えることになる。ただでさえ忙しいなか、新たな仕事を増やすとなると、残業時間を増やすか、普段の仕事を効率化して時間を捻出するしかない。
働き方改革を推進する側が残業時間を増やしていたのでは、本末転倒だ。そこで、「人事部門の作業の効率化を図り、働き方改革に取り組むための時間を捻出するために、RPAを活用することを提案している」(秋葉氏)のだという。現在業務負荷の大きい定型的作業をRPAに振り分けて、余裕ができた分をこれまであまり時間が割けなかった他部門支援や戦略・計画立案、働き方改革の推進などに振り分けようというのだ(図3)。
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人事システム、タレントマネジメント、そしてRPA
オデッセイは、SAP ERPの人事モジュールであるSAP HCMをベースに、人事部門の業務改革、生産性向上を提案するコンサルティング会社。SAPのタレントマネジメントシステムであるSuccessFactorsを含む人事領域では、国内トップクラスのSAPソリューション導入実績を誇っている。
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